油田での生活
人生の中で一番、自然と人に囲まれた一ヶ月でした。初めての土地で初対面の三人の共同生活が始まり、白紙の一ヶ月のスケジュールには毎日様々な予定が書き加えられて行きました。手作りの野菜で豪快な料理をしてみんなでおいしいおいしいと遅くまで語り合ったり、村の人たちと手作りのピザを食べながら歌ったり・・・あのときの感情を言葉にするのがもったいないと思うほど、私はいろいろなことを経験させてもらいました。
村とそこにいる人々に向き合って
縁あって訪れた油田はいわゆる過疎地域でした。私はこの村の未来についてずっと考えていました。自分の暮らす村がいずれ誰もいなくなってしまうかもしれないということが、どういうことなのか。誰がなにをどうすれば良いのか。そしてここに呼ばれた私に求められていることは何なのだろう。
油田にいる頃は、この問いをどう処理していいのか分からないまま毎日を過ごしました。大阪に戻り、時間に追われ将来の選択を考えなければいけないような空気の日々で、改めてあの夏休みを思い出しました。
私はずっと現在に未来にとっての意味を見いだそうとしていたんだと思います。気づいたらいつも、数年後、数十年後の自分やこうした村の未来に目が向いていました。もちろんそれも大事なことだと思います。でもいつの間にか無意識に、未来と同等に尊いはずの過去や現在を軽んじてしまっていました。
振り返ると、油田の皆さんそれぞれが歩んできた歴史は確かに素晴らしいものでした。助け合い、共に楽しむという繋がりは現在もなお続いています。村の皆さん一人一人が私に向き合ってくださったその温かさや生き様、それ自体にとても大きな意味があり、私が油田の人々と過ごす中で体と心に刻んだ様々な感覚はかけがえのないものです。これまでの歴史と今生きているこの時間に改めて向き合うことから、私は始めようと思います。
一ヶ月間、一緒に過ごしてくれたさき姉とりっきー、ありがとう。油田の皆さんをはじめサポートしてくださった皆様、本当にありがとうございました。