参加者体験記【水野ゆり】

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1ヶ月間、田舎暮らし

今回私が参加したインターンは、新潟県村上市の大毎集落で1ヶ月間生活をして、冊子作りをするというものでした。大毎は綺麗で美味しい水が有名な地域で、昔映画やドラマで観た田舎そのもの。どこにいても聞こえてくる川のせせらぎの音はとても心地の良いものでした。

大毎の古民家を一つお借りして、初対面の3人でシェアハウス。初日は若干の不安を抱えて新潟に向かいましたが、生活に必要なものはほとんど全部用意していただいており、毎日集落の人がお裾分けをしてくれて、何不自由なく生活することができました。

東京で生まれ育った私がまず一番に驚いたのは、ガラガラと家の扉を開けて「元気にしてるかー?」とお裾分けを持ってきてくれる大毎の人たちの声。毎日必ず地域の人に会う生活は、今思い返せばとても貴重な時間だったと感じます。

私にとって、この1ヶ月間は初体験で溢れていました。焼畑、田んぼでの稲刈り、紫蘇ジュースづくり、300円でほとんど貸し切り状態の温泉、猪の肉に熊の肉、鯉を捌いて食べたこと、初めて作るちまきの作り方を小学生に教えたこと、散歩ですれ違った地域の人に大きい野菜をもらったこと。こんなにも穏やかな田舎なのに、刺激がたくさんある毎日でした。

暮らしの後、変化

大毎での生活を終えてもうすぐ2ヶ月が経ちます。普段は撮った写真を見返すことはあまりしないのですが、大毎で撮った写真は何度も見返しています。なぜか安心感を憶えるのです。大毎の人々が話しかけてくれた時の声、三人でダラダラとご飯を食べた部屋の空気感、畳の上で昼寝した後のぼやけた景色。写真を見ていると思い出すこの感覚をいつまでも忘れずにいたいです。

私が好きな映画の一つに「おおかみこどもの雨と雪」という映画があります。私の中で、この映画を観ている時に湧いてくる感情に変化がありました。それまでは、物語に出てくる親子の関係ややり取りに感動したり泣いたりしていました。しかし、実際に自分が田舎暮らしを体験した後では、親子の周りにいる地域の人たちの暖かさに心を動かされるようになったのです。きっと、自分がそうしてもらった体験に重ね合わせているのだと思います。自分の中のこういった変化に気づいた時、自分が1ヶ月間人の温かさに包まれて暮らしていたことを幸せに思いました。

無くなってほしくない、自分にできること

耕作放棄地に数多くの空き家、圧倒的に少ない子供と若者。私が大好きになった集落には課題が数多く存在していました。そこで、最終目標である冊子には、大毎に関わったことがない人でも「自分たちも行っていいんだ」と思ってもらえるようにという想いを込めました。私たちが作った冊子が、大毎の活性化にほんの少しでも役に立つといいなと考えています。

私は、日本から大毎のような田舎の温かい人々と景色が無くなってしまって欲しくないと強く思います。そのためには私に何ができるのか?結論から言うと、その答えはまだ出ていません。地域と関わりをもつ私たちのような関係人口を増やすべきなのか、田舎でも都市と変わらない便利さを実現するシステムが必要なのか。これから先、大学院や社会に出てから様々なことを学び、体験していく中で、その答えを導き出していこうと考えています。

最後に

このインターンで過ごした1ヶ月間は、本当に密度が高い毎日でした。歳を重ねて迎えた夏に、かつて若い頃の夏休みに想いを馳せた時には、きっとこの夏を思い出していることでしょう。

宝物のような時間を得る機会を下さったにいがたイナカレッジの皆さん、私たちにたくさんの思い出と思いやりをくれた大毎のみなさん、そして一緒に1ヶ月間を過ごした優しくて楽しいインターン生のふたり。この場をお借りして、皆さんに心からの感謝を申し上げます。また皆さんにお会いできる日を待ち遠しく思っています。

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この記事を書いた人

にいがたイナカレッジ事務局

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