人との繋がりで暮らしていく【酒井悠里】

今年の夏休み、大学生活最後の夏休みは新潟県小千谷市吉谷地区で過ごした。吉谷地区は他のインターン地区よりも範囲が広く、世帯も340世帯と多い。そんな田舎でありながら田舎過ぎない、程よい田舎で約3週間過ごした中で、特に「人が繋がる場」に可能性を感じ、面白いと思った。

にいがたイナカレッジを知ったのは、ゼミでコーディネーターの井上有紀さんが紹介してくださったから。以前に単純に面白そうと思い、参加。特にまちづくりや農業に関心が強かったわけではなく、「暮らすインターン」というのに惹かれ、色んな人と出会えたらと思い参加した。

はじめてがいっぱい

小千谷駅に着いた時は、意外と普通に街だなと感じた。しかし、車で移動し吉谷地区に着くと、稲が広がっている中を車が走り、イメージしていた「ザ・田舎」な風景が広がっていった。私たちが生活をする空き家に到着した。

地区をもっと良くしようと活動されている方に地区の中で行われているデイホームや学童に連れて行ってもらい吉谷を知っていくことに。吉谷地区は北部、中部、南部と分かれており、デイホームは取りまとめている方がそれぞれの箇所に週一回、合計週三回行っている。デイホームに来る方はお元気な高齢な方。皆さん笑顔が素敵で週に1度軽運動やお話をするのを楽しみにしているとのこと。今年の夏から始めた学童では、小学生6、7名を60代以上の方が見ている。高齢の方が多くて、子どもは小学1年生が3人というだけあってなかなか会わなかったけれど、おぢやまつりの練習を見学させて頂くとたくさんの子どもと若者が。

吉谷地区にはたくさんのコミュニティがあり、どのコミュニティにも「お邪魔させてもらう」感覚で、私たちインターン生がどこかに行くと大抵喜んでもらえるけれど、接待してもらっているというような感覚が抜けず、どこか居心地がよくなかった。人に会いに行く予定で毎日が流れるように過ぎていった、そんな時、ふと一緒にインターンをしている子が「このインターンでは普通に暮らしたい」と言っていたことを思い出した。そして、「普通に暮らすってなんだ?」と思った。普段、神奈川・東京で過ごしている時にはこんなに必死に周りに住んでいる人のことを知ろうと喋ったりしないなと思った。私は全然普通には暮らせなくて、インターン生として、この地区に馴染もうと日々緊張して頑張っていた。

「暮らす」は自分以外の人と生きること

日々、人にインタビューしに行ったりする中で、地理的にも少しは把握できるようになったり、知り合いが増えていった。特におぢやまつりは、3日間参加させてもらって子どもと若者と仲良くなっていった。だんだん自分を出せて、高齢の方とも少しフランクに話せるようになったりと、居心地がよくなっていった。途中に用事があり、神奈川に一時帰宅をしたのだが、その時には「早く吉谷に帰りたい」と思うようになっていた。自分は吉谷で暮らしているという感覚を持っていたのだと思う。

「暮らす」というのは、一人ではできないと感じた。いくつかのコミュニティに属し、人との繋がりがあることで「暮らす」ことができるのだと思った。インターン生なので、この地区で仕事をしているわけではない、知り合いなんていない、誰かと会ったらいつも「はじめまして」。一人ぼっちの世界から、「暮らす」ための人との繋がりづくりをしている途中だったから少し疲れてしまったのだと思う。

デイホームの時に聞いた話が気になった。「デイホームに来る人は大抵決まっていて、来ない人をどう巻き込んで来てもらうかが問題なんだよね」という話。改めて、吉谷地区は広く、私たちはこの地区全員の方とは確実に会えていない。もしかしたらコミュニティに入れていない人もいるかもしれない。その人がもしいたら、この地区で「暮らす」ことが出来ているのだろうか。

持ち寄りパーティで「久しぶり」

報告会の前日にインターン生の家で持ち寄りパーティをした。企画のきっかけは、地域の人たちが集まるトレーニングセンターという場所の近くにご飯屋さんがあったという話から。集まったあとに、そこでご飯を食べ、店主さんに送ってもらうみたいな流れがあったそう。店主さんが亡くなり、お店もなくなってしまい、みんなでご飯を食べることもなくなった。みんなが気軽に立ち寄れる場所をつくりたいとも思っていたので、じゃあ持ち寄りパーティをしようとなった。

当日、15名以上の方が来てくださった。来てくれた人が他の人を呼んでくれたりして私たちとはじめましての人も来てくださった。そんな年齢層も幅広く色んな人に来てもらえた場で面白いことが起きた。「いつぶりか分からないくらい久しぶりに会った」状態が起きたのだ。この場が無かったら、もしかしたら再会しなかったかもしれない、と勝手に思っているが、偶然の出会いが起きる場になっていたことが嬉しかった。さらに、次の日にデイホームを開いている方が「みんなが集まれる場所を用意するの、面白いと思ったよ」「持ち寄りする人は無料で、持ってこれない人はちょっとお金もらうとかするのもいいかもと思って!やろうかな~」と言ってくださった。自分たちがやってみたことを誰かがやってみようと思ってくれることが嬉しかった。そんな場がもっとあれば、色んなコミュニティを知ることができるかもしれないし、人との繋がりが広がっていく。

想いを共有する報告会

広い吉谷だからこそ、色んな人を知ってもらいたかった。私たちも、もっと知りたかったから、感じ考えたことを一方的に伝えるだけではなく想いを共有できる、ワークショップ形式の報告会を開催した。地域の人たちの「ハッピートーク(吉谷で過ごす中で幸せだったこと)」と「10年後の生きがい」をはがきに書いてもらい、ランダムに振り分けられたグループでお話をしてもらった。一人ひとりのはがきに私たちが後日コメントを書き、送り返した。みんなのことを知り、みんなで吉谷の未来に進んでいけるような場を創りたかった。

講義型の報告会だと思ってきた人にはびっくりさせちゃったけれど、たまにはこういうドッキリも良いかな(笑)まず楽しんでもらうことが大事だと思ったから、とりあえずみんな笑っていて、ちょっとホッとしました。吉谷から帰っても空き家での生活の映像が浮かんだりと、いつでも行きたいと思ってます。最後に、吉谷地区のみなさま、インターン期間たくさんお世話になりました。ありがとうございました。また行きます。