わたしにとって中之島とは?【亀山咲】

わたしが今回2回目のイナカレッジでした。前回のインターンは、「9代目板長・若女将・地元農家で作る、新しい料亭の味プロジェクト」というものでした。長岡市中之島という地域で活動しました。中之島は、豊富な農産物がある地域です。かつて沼地であった栄養たっぷりの土壌と熟練の農家さんの技術により、とても美味しい野菜やお米が作られています。そんな食材を使って、「割烹 柳屋」でメニューを考えるというミッションが与えられていました。前回のインターンについては、イナカレッジ サイト内の「過去のプロジェクト」よりご覧ください。

「新しい野菜の買い物プロジェクト」とは

今回のプロジェクトメンバーは、私を含めてインターン生3人と、柳屋の若女将、若女将と一緒に地元をもりあげる活動をしている渡辺さん、イナカレッジのコーディネーターの阿部さん、井上さんです。柳屋の若女将から、「今後も、若い人や何か挑戦したい人と、中之島の人との化学反応が起こせるようなきっかけをつくりたい。」という思いがあると聞きました。私は、「中之島の農家さんや野菜をもっと発信したい!」という思いがあって、今回の「新しい野菜の買い物プロジェクト」を企画しました。何を新しくするのかというと、普段の買い物よりも、もっと幸せとか、ワクワクした感じとか、気づきとか、そういうものを見出せる買い物を提供したいな、と思ったのです。

そういう買い物を中之島で経験しました。私は、中之島の直売所で、農家さんと出会い、野菜づくりについて知りたいことを聞いたり、実際に畑に行かせてもらったりしました。農家さんの思いやこだわりを直接「知る」ことで、その直売所の買い物がとっても楽しくなりました。同じような経験を他の人とも共有したい!と思いました。

また、もうひとつ気づいたことがありました。それは、その直売所は、ただ野菜を並べているだけで、どんな人がどういうこだわりをもって作っているのか知らせていなかったのです。だから、私がもっと中之島産の農産物の素晴らしさ、また農家さんの思いも発信し、楽しい買い物ができるような売り場をつくりたい!という気持ちが生まれました。そんな気持ちをイナカレッジの方や、前回お世話になっていた柳屋の女将などに伝えていたら、今回のプロジェクトが生まれました。

Polcaでの資金集めのこと

今回の私が参加したインターンシップは、今までのものと違っていました。実は、イナカレッジ史上初の、OGが企画したインターンシップでした。また、活動費用の資金調達は、インターンシップと同時並行でしていました。集め方は、polca(ポルカ)というアプリと、地域の方達からの寄付で集めることになりました。polcaとは、クラウドファンディングなどのサービスで知られる、「CAMPFIRE」がつくった「フレンドファンディングアプリ」です。支援してもらいたいプロジェクトを、400字以内の文章と1枚の写真でpolcaに投稿するシステムで、一口300円から資金を募ることができます。polcaを使えば、資金調達を誰でも手軽に始められます。

資金調達は、私自身人生初の試みでした。polcaで10万円は集めたかったのですが、47200円という結果でした。自分の思いが多くの人に伝わらなかった悔しさが残りました。地域の方々からの寄付で集まったお金は、ありがたいことに、polcaよりも多く集まりました。

農家さんや中之島の役所の方、今まで繋がっていた地域の方々の協力のおかげでした。お金を稼ぐということは、今までバイトを通して経験していましたが、お金を人から集める経験は初めてでした。プロジェクトの目的や思いを人にどこまで理解してもらえるか、が重要でした。そのためには、まず自分自身がプロジェクトの目的や思いを持ち続けて、人に伝えられるようにすることが大切だと思いました。外部の人に発信して資金を募るという面で、資金調達の難しさを感じました。一方で、応援してくださった知り合いの方や地域の方からの支援が、とてもありがたいと思いました。よそ者に対してあたたかい中之島の方々に、感謝の気持ちでいっぱいでした。

そんなあたたかい中之島の方々は、2年ぶりに再会した時に、私の名前を覚えてくれていたり、インターンシップの活動を褒めてくれたり、喜んでくれました。なかでも心に残っているのは、
「若い子のチャレンジを見ると、私も何かやりたくなってうずうずしてくるよ。また中之島で何かやる時は、声かけてくれれば協力するよ。」
と、言われたことです。「中之島で新しいことをやりたい。」という思いは、私達インターン生だけでなく、このように中之島の方も強く抱いているので、やりたいことをやれる場所や機会がもっと中之島にあったらいいな、と思いました。

「幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある。」ことを実感した

インターンシップ中に作成していたフリーペーパーですが、どういうコンセプトにするか、誰に向けたものにするかすぐに決まりませんでした。話し合った結果、コンセプトは、わたしが2年前に初めて中之島でインターンをした時に、中之島に来て得た気づきを大切にすることにしました。その気づきとは、「幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある。」ということでした。

初めて中之島に行った当時のわたしは、大学2年生でした。自分の目指していた都会の大学に行けず、今の大学に行く意味を見出せませんでした。高校生の時には、「田舎=ださい」と思ってしまっていました。だから、地元の新潟に、そこまで価値を感じていませんでした。そんなに嫌々な気持ちで通っていた大学だったので、本気で辞めようとしていました。嫌なのは大学だけではありませんでした。当時は、自分の家に居ると悲しくて辛い気持ちになることが沢山ありました。そんな時、わたしの姉が教えてくれた言葉がありました。それが、「幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある。」でした。その言葉の意味を中之島に行った時に、理解できました。

中之島に来て、自然や野菜、農家さん、地域の方々から愛情をいっぱいいただきました。そして、そのままの自分でも生き生きとできる場所があった!という喜びがありました。モヤモヤしたわたしの気持ちがスッキリと晴れて、キラキラした自分になれました。この経験をインターン生に共有し、わたしと同じように日々の生活に幸せを見出せない、悩みがいっぱいの「モヤモヤさん」に当てた内容のフリーペーパーにしようということになりました。わたしは、今の自分が常に物足りない、って感じている人でした。中之島の美味しい野菜を通して、こんなに美味しいものをつくる農家さんに感謝、そんな農家さんのいる中之島に感謝できるようなあたなかい気持ちが生まれ、日々の生活がなんだか幸せだなぁ、って思いました。身近なものから愛に気づけるんだなぁ、と感じさせてもらいました。

自分を受け入れてもらった経験

あれから2年が経ち、わたしはもう4年生になりました。就職を考えなければいけない時期になりました。将来、生きていくためには、一人で自立し、生活のためにお金を稼がなければなりません。正直、今のわたしは、前のような気持ちを忘れてしまっていました。一人で生きていくことが思った以上に怖くて不安で押し潰れそうな、余裕のない気持ちだからです。

そんな心境の中、2年前の気持ちを思い出して言葉にすることは、時間がかかりました。プロジェクトメンバーや地域の方に説明する時も、中之島に行ったことがない人にも伝えられるように、フリーペーパーの原稿を書いている時も、プロジェクトの資金集めをする際にも、このプロジェクトの目的や思いを伝えるためにはなんと言ったら伝わるのかとても考えました。言葉に迷うたびに、「2年前の自分って中之島のどんなところに感動したんだっけ?」「2年前はどんな気持ちでインターンに参加したんだっけ?」と何度も前の自分についてを思い出していました。

わたしにとって中之島はなんだったんだろう。と考える日々でした。確実に言えることは、2年前に中之島で「とびきり居心地よい場所」をわたしが見つけたということでした。大学でもない、家でもない、もう一つの居場所でした。最近見つけた本で、『サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』という本があります。その中で、人は家庭や職場(学校)から解放される場所がないと、孤独感から元気がなくなってしまい、生きていくことが困難になる。そして社会全体も暗くなってしまう。人が活き活きとするためにはそういう場所がなくてはならない、という内容が書いてありました。

2年前のわたしは、どうしようもない自分の環境から抜け出したくて、もがいていた時にイナカレッジ を見つけました。中之島インターンでの、自分を受け入れてもらった経験のおかげで、その後では、不思議なことに爆発的に色んなことに興味を持ち、やる気が湧き始めました。また、おしゃべりが好きすぎて我慢できない自分の性格を出せるようになり、多くの人とどんどん繋がっていけるようになりました。思う存分色んな人に甘えさせてもらえる場所が中之島でした。沢山の方に優しくしていただき、お世話になりました。これからは、もうちょっと大人になって、中之島のために何かできるような自分になりたいと思っています。