今まで体験したことない日常【坂上史果】

私は人と話すことが大好きだ。友達と何気ない話をすることも、同級生と課題での意見交換をすることも。

しかし、私が話す相手は日々、変わらない人で、大学に進学して1人暮らしをするようになってからは余計に限定されていた。

普段関わらない人と話したいと思っていた。そんなある日、友人に教えてもらったのがイナカレッジだった。

友人は以前にイナカレッジの違うプロジェクトに参加し、そこでの体験談を話してくれた。私にはとても魅力的で様々な人と話したいと考えていた私は、参加を希望した。

 

では何をしたのか。「かのん」という冊子づくりである。これは、地域の人に地域の良さを改めて認識してもらうためのフリーペーパーである。

今回、私たちが携わったのは1周年記念号で、去年、創刊号を作った先輩から多くの話を聞いた。込められた思いや地域の人との関わり方、インターン生同士の付き合い、話を聞くだけでワクワクした。

なぜなら、人と人とのコミュニティからアイディアや内容を決めていくというような、コミュケーションを必要とすることがこのインターンの根幹だと感じたから。

私がこのインターンに参加したのは様々な人と関わりたいからだったのでコミュニケーションを取れることに喜びを感じていた。

去年は1ヶ月かけて作ったのに今回は1週間しかない。正直、やることを十分に理解していなかったが、期限までの時間の無さに焦りを感じる反面、時間がゆっくり流れることに心地よさも感じていた。

 

先輩たちの話を聞いて、本格的に私たちの「かのん」作りが始まった。初めて、1人で家を回った時のドキドキは何にも変えられない。

日頃、家を訪れる時は家のチャイムを当たり前に鳴らすが、ここでは鳴らさない。いきなり戸を開けるのは勇気がいることで1つの試練を迎えた。

また、人によっては時間がない人もいて、それがまた試練につながり、より大変だった。しかし、そんな時声をかけてくれる人がいた。すごく嬉しくて温かい気持ちになった。その人は「かのん」のことも知っていて、こうしたらいいとか、ここがいいとか多くのアドバイスをくれたし、取材もさせてくれた人でとても心が温かくなった。

インターンの1番の思い出は、地域の人とご飯を食べたことである。上記の人が今から一緒にご飯を食べないかと誘ってくれた。

しかし、その日は他の用事があってご飯を一緒に食べることができなかった。せっかくの機会を無駄にしたくないと感じた私は別の日の予定を聞いて積極的にご飯の約束をできないか、提案した。

承諾してくれたその家族は私たちを快く受け入れてくれた、いろんなものをご馳走してくれた。その場で仲良くなった人と食べるご飯はすごく美味しく、その時間がずっと続けばいいのにと思うくらい楽しい時間だった。

1週間が終わった。私はこのインターンで何を得たのだろうか。

それは人の温かさだと思う。道で会うとこんにちはと会釈をしてくれ、お祭りなどで一緒になると話しかけてくれる。

私が今、過ごしている日常は関わりのある人とはより関わるが、関わりのない人とは関わらないまま平行線の関係性が多い。

この鹿ノ俣地域で過ごした1週間という短い日常は今、地元で過ごしている日常に比べると様々な人・事・物の全てにおいて経験したことのない日常であった。