「おすそわけ」で繋がる関係から見えてきた、「豊かな暮らし」

参加したきっかけ

就活も終わり、学生最後の夏休み。海外旅行したり、アルバイトに明け暮れたりする選択肢もありました。でも、私は人との繋がりを通して自分の「日常」を見直すきっかけが欲しいと思っていて。そんな時にイナカレッジのインターンに出会いました。

何をしていたのか

「地域の思い出を紡ぎなおす!暮らしのカレンダー作りプロジェクト」という名のもとスタートさせました。

屋号で呼び合っていても、その人の好きなこととか、普段どんな生活送っているのか知らなかったり。44世帯、約110人という少ない集落だけど、意外とお互いの事を知らないといった現状がありました。

ですが、これから先この集落の未来を考えると、一体どんな人達が生活していて、どんな暮らし方をしているのか。それを知る必要があったからです。

今、集落内に住んでいる方達だけではなく、これから岩之入に来る方やかつて住んでいた方にも知ってもらいたい。中にいるとなかなか気づけない、その土地の魅力を感じてもらうために私達は日々活動していました。

内容は、ひたすら集落内を歩き回って、遭遇した方と道端で世間話をしたり。時にはお茶会に招き入れて下さったり、小学生の男の子と森の中を探検して隣の集落まで行ったり。

集落内では、若者や女性があまり声をあげる機会がなかったりするから、流しそうめんのイベントも企画しました。

流したいものを持ってきてもらおうと声をかけると、そうめんだけでなく巨峰や枝豆、ゆで卵まで。初めの頃は地域の集まりに全く顔出さなかった方が、イベント後、家のポストにお土産を下さったり、道端で声をかけて下さるようになったり。やってよかったと実感しました。

ここで過ごしていく中で、学んだことや皆さんの声を一つの形にするというとなると、どんな媒体にするべきなのか。そんな時、脳裏に浮かんでくるエピソードがありました。

それは、岩之入に来てすぐのこと。お隣に住むおばあちゃんのお家で話していた時に、「今までは、夜になると隣近所の灯りがともることが当たり前だったの。でも、今では周りがいなくなってからずっと寂しかったけど、あなた達が来てくれて、再び灯りがともされた。それがすごく嬉しかったのよ。」とおっしゃっていて、家のあかりには人の存在や暖かみがあって、豊かさの象徴になっていることに気づいた時、ほっと安心できて、心が暖まる。そんな気持ちになるものを作りたいなと思うようになりました。

決して「目指す」ものにはしたくない。

何度も何度も、想いのすり合わせをする時に、ここは大切にしていました。目指すことは果たしてその人達のためになるのか。私たちがそこに導いていることになってしまうのではないか。

もともと想定していたカレンダーだと一過性のような気がしていて、一度やってきた日はもう過去のものとなってしまう。どこかしっくりきていないものがありました。決して過ぎ去るだけのものにしたくない、循環するものでその季節がやってくるたびに思い出したりしてほしい。

そんな時、期間中に他地域でコーディネーターをしている方が暦ワークショップを開催してくださりました。そこで、私達がやりたかったのは「暦」なんだと、すんなり受け入れることになりました。

私たちがいた季節は、8~9月という夏から秋にかけての間の時期。 暦=春夏秋冬という固定概念に囚われていたけど、自分たちが岩之入にいたその1ヶ月。そこで過ごした時間、出会ったエピソード、感じたこと。それ自体が私たちの暦なのではないか。誰のため?もちろん岩之入の人たちに改めて地域の良さを知ってもらうきっかけでもある。でも、私たちがいた記録として、私たち目線の岩之入を残すべきなんだ。

尖ったデザインや斬新なアイディアとかのビジュアルに囚われていた日々から脱却して、そこからは今、ここにいる私達がどう感じているのかベースにして、一つの形にしようといった方向性に変更しました。

期間中、色々な方からのちょっとした言葉。それが新たな視点を生み出して、少しずつ、前に進んでいく感覚がありました。

また、初めの頃に皆さんが「ここはなんもねえ」て口を揃えておっしゃっていました。

シャイな方が多かったけど、話を聞けば聞くほど魅力があって。集落内には大工さん、左官屋さん、電気屋さんなど。なんかあったら◯◯さん!といったように、プロがたくさんいらっしゃるし、それぞれ趣味も多彩なんです。

手芸や家庭菜園、バイク、釣りなど、イキイキと話されている方が多くて。趣味の範囲を超えてるんではと思う方も多くて。

また、インターン期間中、インターホンが鳴り止まなくて、入れ違いで色んな方がいらっしゃては野菜や手芸品をいただいたり。決して物だけではない、たくさんの「おすそわけ」を貰いました。ここは「人」が魅力な場所なんだとあらゆるタイミングで気づきました。

生活をしていく中で、とあるおばあちゃんに会いたくなって愛おしくなることに気付きました。私達が3人で話す会話にもよく出没していて。

おばあちゃん達と話してると落ち着くし、朝散歩も新しい出会いも期待しつつ、◯◯さん今日会えるかなというのがいつも頭の中にあって、それが毎日の楽しみな日課で。こんな風に、会いたい!と思う人がいるって幸せなことだし、もっとこの気持ちも大切にしたいと思いました。

また、生活していた家はテレビがなくてかわいそうだと言われたこともありました。でも、テレビで時間を潰したり生活音のように聞き流すくらいなら、外に流れる自然の音を感じたり、近所のおばあちゃんと話したり、私たちにとっては、岩之入じかんを堪能する方がよっぽど有意義だと思っていて。ニュースとかは、おばあちゃんに聞きに行けばいいや、なんて風に捉えていました。

何を得たのか

◯自分の気持ちを大切にすること

私はこの1ヶ月間で、自分にとって心地の良い暮らしとは何かがわかったような気がします。集落内で生活していたのはもちろん、私はメンバーと女3人、一つ屋根の下で共同生活をしていました。

普段の生活を見直すことがメインだったからこそ、時にはメンバーとぶつかることもありました。自分にとっての「当たり前」は相手からしたら「当たり前じゃない」ということもふとした瞬間に感じてモヤモヤしたり。そんな時、コーディネーターさんのように客観的に話を聞いてくれる人がいることで、モヤモヤしてるけど言語化できていない感情が案外スッと出てきました。

 

生活の中で、どれだけ自分の安らぐ時間や場所を作れるか、確保できるのか。自分が心地よいと感じるものは、普段ではすぐに答えられないけど、こうしてみんなで共同生活をしているからこそ自分ってこんな人間なんだとわかる瞬間があって。

私は料理をするのが好きで、何作るか考えたり、相手と食べて美味しそうな表情になっている姿を見るのが「幸せ」だと気づいたり。

そんなひと時を確保できないと、人はストレスを感じるんだなと発見しました。

 

 

◯丁寧に生きること

「とも」は、岩之入集落の「いつも」を表現したエピソード暦。

いつもだったら、何度も同じことを話すおばあちゃんの話を聞く耳立てず、軽く受け流していたかもしれない。でも、聞いてみると、実は大切な生き方のヒントを私達に「おすそわけ」してくれました。

 

都会にいると、そこらかしこに物が売られてて、ちょこちょこ買いが多かったと感じました。よくよく考えたら今要らないなってものでも、すぐ手に届くからついつい買ってしまう。ものに対する認識の軽さと便利さを引き換えにしている気がする。心の欲をそれで満たそうとしている自分がいることに気づきました。

 

自然と向き合う。五感を感じる。自分と向き合う時間を作る。今の私を受け入れる。

心の「豊かさ」のヒントを学びました。

報告会を終えて

やっとやりきったって純粋に感じました。インターンを終えてからの1ヶ月間、ずっともやもやしていました。そんな気持ちをどこに当てていいのかわからなくて。岩之入戻ってきてすぐの時も、気持ちが1ヶ月前みたいに戻って来るのかと不安でした。でも、当日岩之入の皆さんの顔を見た途端、あの時の私になっていました。

想いの変わらない、むしろ前よりも愛しさが増したこの感覚。台風で報告会が延期になったのも、神様が「また岩之入においで。」そんな口実を作ってくれたのかな。ぎりぎりまで、今回も来れるか分からない状況だったけど、それはそれで、一つのコンテンツのような。

逆に1ヶ月間、東京に戻っていつも通りの生活に戻っていたからこそ、改めて岩之入で過ごしたことの価値を感じることができたと実感しました。

 

おそろいの割烹着を支給され、お母さん方と一緒に作業していたら、馴染みすぎてて全然気づかなかったよ!と言われるようになったり(笑)。岩之入の「日常」に私達がいるような感覚だったよと声をかけて下さることもありました。

また、「若者と遭遇した時に、挨拶をしてくれるようになったんだよ」と町内三役の方がおっしゃっていました。今まで住民が集まる会で声をあげなかった方も話すようになったり。ちょっとずつ、また新たな流れが集落内でも生まれてきているのかなと感じました。

 

最後は皆さんが両手を挙げたアーチでお見送りをしていただきました。なんて暖かいんだろう。いつしか、ここ(岩之入)が心の拠り所になってることに気づきました。1日1日が濃密で贅沢な時間だったなと改めて感じた日々でした。

最後に

実は去年も参加してみようと思っていたものの、タイミングが合わず断念。でも、むしろ今年参加してよかったと思いました。

「今」の自分の気持ちと向き合った時に、私はどうしても「今」だからこそ参加したかった。

きっかけは人それぞれだと思うけど、心が感じている想いを信じて、少しでもやってみたいという気持ちがあったり、揺さぶられる何かがあったなら、是非チャレンジしてみて欲しいです。

 

改めて、一緒に活動したメンバー、お世話になったコーディネーターさんや地域の皆様、この場を提供してくださり本当にありがとうございました!!