地方に移住を考えているライター小川さんが、田舎のお金事情・仕事事情について、インターン生とガチトークをしてくれました!
東京出身、東京育ちのライター小川です。
現在東京から地方への移住を検討中です!
地方移住を検討している私の目線からインターンの紹介をさせていただきます。
今回は、イナカレッジのインターン生として、仕事を辞めて新潟にやってきた方、お二人に対談という形でお話を伺いました。
※2016期生の森さん(写真左)と2014期生の渡辺さん(写真右)
お金の話、お仕事の話、かなり突っ込んだ内容にまで踏み込んでいますので、インターン参加を検討されている方はぜひ参考にしてみてください!
◆対談者紹介
それではまずはじめに今回対談していただくお二人のご紹介をさせていただきます。
渡辺 紗綾子さん
(東京都出身)
東京ではオーガニック飲食店や、イベント企画・運営の会社に勤務されていました。
そしてイナカレッジのインターン生として、2014年6月から一年間、十日町市松代のプログラムに参加されました。
現在は松代の「まつだいカールベンクスハウス」さん一階で、フレンチレストラン『澁い』(しぶい)を開業、運営されています。
森 孝寿さん
(愛知県出身)
新潟にやってくる前は名古屋市で整体院を運営されていました。
そしてイナカレッジのインターン生として、2016年4月から十日町市池谷集落で農業を中心としたインターン活動をしていらっしゃいます。
――お二人がイナカレッジのインターンに参加された経緯について教えてください
渡辺さん
「まず私には東京を離れたいという気持ちがありました。田んぼや畑が身近にある生活がしたいと思っていたんですね。そう考えて、まずは仕事を辞めました。身軽に動ける状況を先に作っちゃったんです。そんな中、イナカレッジさんのインターン制度を知って、参加申し込みをしました」
森さん
「私は百姓をやりたいと思い、イナカレッジさんのインターンに募集しました。自分で食べるものを自分で作ってみたいという気持ちがあったんです。今は独身ですが、家族ができた時に安心安全なものを食べてもらいたい。そんな気持ちで新潟にやってきました」
◆お金について
――まずはいきなりお金の話を。イナカレッジのインターンに参加すると月に五万円の生活補助金が支給されます。家などは地域で用意いただいているものの、それだけでやっていけましたか?
森さん
「私の場合は食費がほとんどかからないので、五万円以内になんとか収まっています。野菜やお米はもらったり自分で育てたものを食べているので、食費はかかっても月に数千円くらいなんです。社会保険料と携帯代などの通信費を払って五万円トントンくらいですね」
渡辺さん
「すごい! 私は正直、五万円では足りていなかったです(笑) 食費は確かにほとんどかからないんですけど、私の場合は交際費がちょっと家計を圧迫してしまっていました」
森さん
「交際費というと?」
渡辺さん
「主に飲み会代ですかね(笑) 逆に言うと、その他の部分はかなり安くおさまっています。インターンに参加している時は灯油なども支給されていたので、そこはかなり助かりましたね」
――ということは、インターン生時代は少しずつ貯金などから補填することもあったんですか?
渡辺さん
「そうですね。月に2~3万くらいは持ち出しでかかっていたと思います。定住を決めてからはアルバイトも始めたので、そこからは貯金を削ることはなくなりました」
※アルバイトについて
インターン期間中は原則としてアルバイトは禁止になっていますが、インターン生が地域に定住を決めた場合に限り、インターン終了に合わせて生活補助金がなくなることを考慮してアルバイトを認めています。
森さん
「お金に関しては、正直”お金をもらえるんだ”という気持ちもありました。家なども提供してもらっているのでむしろお金を払わなきゃいけないと思っていたので、その点は助かりましたね」
◆田舎に仕事はあるの?
――田舎、いわゆる地方の集落に仕事はあるのでしょうか?
渡辺さん
「たくさんありますよ。アルバイトという形なら、若い人が探そうと思えばいくらでもある」
森さん
「こんなことが仕事になるんだ! という仕事はありましたね。雪下ろしなんかが、一時間二千円くらいで請け負える。一件につき一時間半から二時間くらいで終わるので、それなりに数をこなせば良い収入源になる」
渡辺さん
「私の住んでいる十日町市なんかは織物が有名なところなので、織物関係の内職が結構あったりします。着物って洗う時に反物の状態に戻すんですけど、その戻す作業の内職とか」
――素人には難しそうに思えますが……
渡辺さん
「もちろん、技術は必要ですが、研修するので未経験からOKという募集のところもたくさんありますよ。市のホームページとかに募集が載っています」
森さん
「市のホームページに記載があるんですか?」
渡辺さん
「そうです! 業者さんの数が結構あるので、募集はたくさんあるみたいです」
――地方の集落特有と言いますか、例えば猟をするとかのアルバイトはあるんですか?
渡辺さん
「私はまだやっていないけど、有害鳥獣駆除はお金になると思います。猟友会から請負という形になると思いますけど、鹿一頭で二万円くらいとか。ただ基本的に猟師の人はそれでお金にするというよりは自家処理をしている感じですね。みんな冷蔵庫が肉でパンパンになってます(笑)」
森さん
「私もまだ猟はしていませんけど、肉が獲れたから食べに来ないかって誘われて食べに行ったりすることがありますね。買わないけど、肉には困らない(笑)」
――羨ましいです……!
◆地域に馴染めるか
――いきなり新潟にやってきて、地域に馴染めるのか? というような不安はありませんでしたか
森さん
「私のいる地域は比較的入り込みやすい地域だったと思います。過去にインターン生の受け入れもしていますし、Iターンでこっちに来ている人も多い。村全体が若い人ウェルカムな雰囲気でした」
渡辺さん
「私の場合は、イナカレッジのインターン生としてどこどこに勤めていますというような肩書きがあったのが良かったと思います。そのおかげで地域にはすんなり馴染めました」
――肩書きというと、「イナカレッジのインターン生です」ということですか?
渡辺さん
「うーん、インターン生というよりは、地域の誰々のところにお世話になっている渡辺です、という感じですね。地域の知っている人の名前が出て、そこで働いている人間だと分かればみなさんに安心していただけるみたいでした。あぁ、あの人のところにいるのね! という感じで」
◆地域おこし協力隊との違い
――イナカレッジの提供するインターンプログラムと同じような制度に「地域おこし協力隊」があると思うのですが、そちらとの比較検討などはされましたか?
渡辺さん
「私はインターン前にお試しで一度こっち(新潟)に来た時に、地域おこし協力隊としての活動は無理だなと思いました」
――それはなぜですか?
渡辺さん
「地域おこし協力隊はどこの地域に所属しているかで、活動に縛りがあるように感じました。色々な地域の人と交流したいと思ったらイナカレッジのインターンの方が都合が良かった。あとは、地域おこし協力隊は収入が地域の方にも明らかな分、きちんとやっているのかという目線で見られたりとか、変なプレッシャーがあるように感じました。実際にそうかはわかりませんが、イナカレッジのインターンの方が身軽に感じたのは間違いないです」
――森さんはいかがですか?
森さん
「私も渡辺さんと同じような感じですね。地域おこし協力隊として参加してしまうと、活動の幅が狭まってしまうような印象を受けました。地域おこし協力隊としてやるべきことがあって、その後に自分のやりたいことをやるという優先順位になってしまうと思うんです。しかし、イナカレッジのインターンであれば、自分のやりたいことを最優先して取り組める。ただ、地域おこし協力隊の方が収入の面では安定しているんだろうなとは思います」
◆インターン終了後の仕事について
――インターンが終了した後はどんな仕事を始めた(始めようとしている)のでしょうか
渡辺さん
「私は先ほどの説明にもあった、フレンチレストランの『澁い』(しぶい)の運営を主にしています」
――『澁い』をオープンしたきっかけというのはどんな感じだったんですか?
渡辺さん
「インターン中にドイツ人の古民家再生建築家の方の、事務のお手伝いをしていたんですね。それで、その時手伝いをしていた事務所の一階が、飲食店のできるスペースだったんです。もともとその建築家の方が飲食店を始めたいと思って建てたらしいんですけど、まだ手付かずになっていた。それで、ちょうどインターンが終わるタイミングでオープンしました」
――実際にお客さんは結構いらっしゃっているんですか?
渡辺さん
「そうですね。オープンして一年半くらいになりますが、ようやく店の存在が周知されてきて、飲食店らしくなってきた、という感じですかね」
――森さんはまだインターン中ですが、今後どのような仕事をしていくというのは決まっているんですか?
森さん
「今決まっているのは、味噌とか漬物を作っている醸造所でのアルバイトですね。あとは、農作業のアルバイトです。
その他に自分の田んぼでお米を作って年間六十万円、月になおすと五万円くらいは稼ぐつもりです。
あとは整体院での経験を活かして、都会から田舎に人を連れてきて、整体をして身も心も健康になって帰ってもらうというツアーの企画をしています。こちらはやればやるほど儲かると思っているので、伸びしろがあるかなと思っています」
――複数の収入源があるのはいいですね。
渡辺さん
「私も、飲食業以外にもプラスでいくつか収入源を確保していきたいなと思っています。例えばですが、急にまとまった額が必要になった場合に、収入源が一つだけだと厳しいのかなと」
森さん
「地方で暮らしている人はほとんど兼業でなにかをやっている方ばっかりですよね」
渡辺さん
「そうそう。夏は農業で、冬は除雪関係の仕事をしていたりとか、おばちゃんたちも冬は内職をしていたりとか、なにかしら収入源は複数確保しているイメージです」
◆今後の抱負
――今度の抱負や、こんなことをしていきたいということを聞かせてください
渡辺さん
「やりたいことはいっぱいあります。今やっているお店に関しては、地域の農家さんとの連携をもっと深めていきたいです。土地で採れた素材での料理の提供などですね。あとは、観光コーディネート業とかも始めたいと思っています。もっといっぱい松代に色々な人に遊びに来てもらって、それでお店にも寄ってもらえるようになったら理想的かなと。畑も、しっかり自分で食べる分くらいはきちんと育てていきたいですね。織物の合宿なんかもやりたいし……。やりたいことはたくさんです(笑)」
森さん
「まずは百姓仕事をもっと学んでいきたいです。集落外の勉強会などにも参加してもっと知識を深めていきたいと思っています。無農薬の有機農業などもやりたいですし。安心安全なものを作りたいと思って来ているので、そのあたりをきちんとアピールできるようになっていきたいですね。後は、整体院での経験を活かした自営の仕事をどんどん伸ばしていきたいです」
◆インターン応募を考えている方へのメッセージ
――では最後に、インターンに応募しようか考えている方へのメッセージをお願いします
渡辺さん
「まずは気軽に遊びにきてください。行動しないとなにも起こらないので、情報だけ調べて頭でっかちになる前にとりあえず見に来てみる。そのためにはイナカレッジのインターンってとても利用しやすいシステムだと思います。気負わず楽しみに来てください」
森さん
「地方の集落でもちゃんと生きていけますから、安心してください。食べ物も、住む場所も確保できます。迷っているのだったら、絶対に来た方がいい。やる気さえあれば、なんとでもなります。お待ちしています」
――お二人とも、ありがとうございました!
イナカレッジでは「週末イナカレッジ」などといったお試し企画も多数ご用意しています。
興味を持たれたプログラムがありましたら、まずは一度ご連絡いただければと思います。
みなさまからのご連絡、心よりお待ちしております!
現在募集中のプログラムは、こちら
ライタープロフィール
小川裕介
東京で生まれ、東京で育つ。2016年からフリーライターとしての活動を開始。
現在、ライターとして活動をしながら地方移住を検討中
ツイッターアカウント:https://twitter.com/yusuke_ogawa06
公式ブログ:http://ogawayusuke.com/