高柳町門出インターン生矢代です。
外の仕事も一段落し、工房の中での作業が増えてきました。
その中で楮と向き合う日々で紹介した乾燥後の作業となる「皮引き」という作業があります。
乾燥させた皮は一度水に漬けてふやかしておきます。そしてこの皮に付いている茶色い部分(茶ガラ)を取り除きます。これが残っている状態で煮るとゴミだらけで品質の良くない紙になってしまいます。
ちなみに今回は茶ガラだけを取り除く「なで皮」状態にします。茶ガラだけでなくさらに緑っぽい部分も取り除くと「白皮」へ。賞状などのちょっと高級な紙に使われるようです。でも今回はなで皮に、これは日本酒「久保田」のラベルになります、
そして使う道具は「ツメ」と「包丁」です。やりやすい方でいいよとのことで自分はツメを主に使っています。
これを皮に押し付けて皮を引きます。そうすると茶ガラが取れるという仕組みです。
そうするとこんな感じに。茶ガラが削り節のように落ちてきれいになりました。と簡単そうに説明しましたが、これが難しい、難しい。これは撮影用にまだうまくいったものを撮りました(笑)。
力を入れすぎると皮がちぎれてしまうし、入れないと茶ガラが落ちてくれないしと絶妙の力加減が求められます。また、夏場に芽かきをしっかりやらないと節が残ってしまい、そこにツメが引っかかってこれまたちぎれてしまう、虫食いで穴が空いているとまたまたそこからちぎれるなどボロボロの状態のものがたくさん出来上がっております。
話によると一番ひどい状態の皮を今引いているらしいので、これを乗り切ればあとはだいぶ楽になるかもしれません。
あとはまた何本かをまとめて縛って、今度は干からびないように水に漬けて煮るのを待つだけです。
細かい作業なので目がとても疲れますし、ずっと同じ姿勢で続けていると全身が強張ってしまいます。しっかり押さえるので手首も痛くなります。昔の人たちはこれを冬仕事としてやっていたと聞くと本当にすごいと思います。
ちなみに自分はじっとしていられないので、所々伸びをしたり、屈伸したりしてちょこちょこと動き回っています。
そして今はなんと皮ひき機なるものが!手でやらなくても機械で引けちゃうんです!
この刃がガラガラと回転し茶ガラを削っていきます。しかし結局これも刃に押し付けるのは人間が行います。そしてその力加減の調整が中々難しいです。これも何度も挑戦して経験するしかありません。この冬の間何度も引くことになると思うので頑張りたいと思います。
状態の悪い皮は機械で引くとすぐにちぎれたりしてしまうので、今回手で引くことになりました。本当に力加減が難しいです。削りすぎず、茶ガラを残さないギリギリのところが出来るように頑張りたいと思います。
そして何よりこの作業のおかげでやはり自分はじっとしていられないことを改めて自覚させられました(笑)。でも中仕事も重要な作業なので、多少動きつつも、しっかりと学びたいと思います!