柳屋と中之島の1か月

夏休み学生インターンレポート、お次は、割烹柳屋「9代目板長・若女将・地元農家で作る、新しい料亭の味プロジェクト」です。

長岡市中之島地域の農家さんに地元野菜を学びながら割烹の若女将、板長と、地元野菜を使った新しいメニューを作るというプログラムです。

2人目は、新潟大学の坪井さんです!家庭科の先生の卵で、料理上手。このインターンではじめての一人暮らしをしながら、暑い夏を中之島で過ごしました。それではどうぞ~。

image-13

私の参加した割烹柳屋~9代目板長・若女将・地元農家で作る、新しい料亭の味プロジェクト~のコースでは、新潟県長岡市の中之島地区を拠点とし、地域の優れた食材に光を当て、創業218年にもなる割烹料亭である柳屋の板長や若女将、相方である亀山さんとともに、地域のシンボルとなるような料理メニューをつくり、最終的にはお披露目会を催し、そのメニューを実際に食べてもらうところまで行いました。

「農業」「プロの料理」に直に触れるチャンス

そもそも、なぜ私がこのインターンに参加したのかというと、その理由は主に2つあります。
一つ目は、私の大学での専修が関係しています。私は教育学部で家庭科を専修しています。というわけで元々料理はするのも食べるのも好きです。しかし、スーパーで買って、家庭料理として調理するという普段とは違う、作物を「作る」こと、家庭料理ではなく「プロの」料理、には興味はありつつも、知り合いに農家がいない、学生であるということもあってそうしたものにはほとんど関わりなく過ごしてきました。

二つ目は、大学の授業で限界集落に行った経験が関係しています。その授業の実際の本旨はまちづくりや災害について学ぶことにあるのですが、私はそこで地元のお母さん方(農家さん)が振る舞ってくれた料理に感動しました。それで私は「農業」に興味をもちました。このインターンでは、「農業」「プロの料理」に直に触れるチャンスと思い、参加しました。

農業、和食について学ぶ

では実際、私たちがどんな活動をしてきたのか紹介します。

1、2週目は「学ぶ」ことをひたすら行いました。「農業」にも、「中之島」にも、「本格的な和食」にも無知な状態だったからです。行った先は「直売所」「農家さん」「割烹柳屋」ここでは直売所で仕事をしつつ、来るお客さんや農家さんとたくさん話をしたり、農家さんのところで収穫体験などの農作業をしたり、柳屋で仕事をしつつ和食について学びました。

img_1381

農家さん方には本当によくしていただいて、枝豆や、漬物、果てはアイスまで振る舞ってもらってしまい、規格外の野菜のお土産もたくさんいただきました。家で調理もしましたが、もらったその日の野菜はとてもおいしく、一度では食べきれないのがとても悔しかったです。

また、農家さんは野菜についてもやはりとても詳しく、「梨茄子は漬物がいい」とか、「今年は暑かったから味が濃いよ」など、ふだん気にしたこともなかったことが分かって、とても新鮮で楽しかったです。また、2週目は自分達で農家さんにアポをとって行ったのですが、とても快く引き受けてくれて、とても活動がしやすかったです。他にも感謝エピソードはたくさんありますが、ここでは省きたいと思います。

柳屋では、主に和食について学びました。和食といっても、私の知る和食とは全然違って、器、食材、調味料も知らないものがたくさんあり、料理そのもの以外に対しても拘っていました。実は事前研修で柳屋のお料理を食べさせていただいていたのですがとてつもなくおいしく、それらに拘って作っているからこそ出る味なのだと、納得したのと同時に難しいと感じました。

img_1380

コンセプトは「野菜を味わう」にし、野菜の良さを最大限生かした料理をつくる

3,4週目では、今まで学んできたことをまとめ、お披露目会に向けての準備を進めました。このようなイベントを主催者として1から企画するのは初めてで、若女将をはじめ、様々な方からの助力を得つつ、集客のためのビラを作ったり、会場を設営したりしました。思ったよりやることや考えなくてはならないことが多く、アドバイスをもらいつつ作り上げるのはとてもいい経験と力になりました。

そして、このインターンの本旨である「メニューをつくる」ことにも携わりました。今まで農家さんから集めた各野菜の「こだわりポイント」をまとめ、板長と料理について話し合いました。コンセプトは「野菜を味わう」にし、野菜の良さを最大限生かした料理にすることになりました。また、料理のほとんどは板長が具体的に考案したのですが、デザートは私たちが考えることになりました。初めてレシピを考えるということで5日間、とても苦労したし、実際につくってみるとうまくいかないこともたくさんあり、いくつか案は作っていましたが、そのほとんどが没となり、メニュー考案の難しさを知りました。

img_1378

お披露目会は、話すのが楽しく、会はあっという間にすぎていきました。

そして9月15日、お披露目会を催しました。初めての人も含め30人を前に、ほぼアドリブで料理の説明等をしました。前だったら緊張して冗談なんて言えなかっただろうに、なぜかその日は我ながら饒舌で、この1か月間交渉やら雑談やら、いろんな人とたくさん話し合い、触れ合った経験が生きているのか、今までで仲良くなった方々が場の雰囲気を盛り上げてくれたせいか、おそらくその両方でしょうが、話すのが楽しく、会はあっという間にすぎていきました。

お料理に関しては、お客さんの評判は上々で、自分の作物にはこだわりの農家さん達も満足そうにしてくれて嬉しかったです。ただ、私たちの作ったデザートはまだ改善できるといわれ、改めてメニュー開発の困難さを思い知りました。しかし、意外とおいしい、と言ってくれたお客さんも多く、それが素直にうれしかったです。

img_1379

意外だったのは、人と関わるのが好きになったのと、中之島が大好きになりました。

この一か月間は、本当に毎日新しいことだらけで、農業、和食、野菜、そして中之島の魅力にどっぷりと浸かり、ここでは書ききれないほどたくさんのことを学びました。野菜を見る視点が変わり、今まで特に気にしなかった産地や、旬、品種、輸送ルートとか考えるようになったし、イベント企画のスキルも身についた部分があります。

意外だったのは、もとの目的とは違いますが、人と関わるのが好きになったのと、中之島が大好きになりました。一方で、自分の知っていることがほんの一部だということが分かり、世の中の広さを感じたし、たくさんの人の協力を得てなんとか最後、お披露目会の成功に漕ぎ着けたことによって人とのつながりの大切さを知りました。協力してくれた方々には本当に感謝してもしきれません。

決して遠くはないとはいえ、地元を離れて中之島で過ごしたこの1か月間は、本当に私の中の世界が一気に広がった1か月間でした。ここで得た経験や縁をこれからも大切にしたいと思います。