法末集落という復興のトップランナー
2004年10月23日。中越地震が発生しました。
マグニチュード6.8、最大震度7を観測する地震によって、中山間地域を中心に家屋の倒壊や地盤災害が多数発生し、68名の尊い命が奪われました。
当時大きな被害のあった地域の一つに長岡市小国地域 法末という山奥の集落があります。
もともと人口減少や高齢化の流れが進んでいたところに中越地震が発生したことで、過疎化の流れが加速的に進みました。
震災前53世帯119人だった法末集落は、現在は42世帯71名になりました。
(冬はこんな感じです)
法末集落は、いち早く復興に向けて歩み始めました。
ボランティアの受入、集落の人たちが何度も議論を交わした復興計画づくり、さらに大学生と一緒に足湯を作ったりもしました。
また「やまびこ」を拠点に、田んぼツアーや雪かきボランティア、さらには都市の若者を1か月受け入れるイナカレッジのインターンシップ事業なども。
地域外の人たちを積極的に巻き込みながら、集落の人たちが一丸となって活動したことで、確かに人も減っているし、高齢化も進んでいるけど、ものすごく元気な集落です。
やまびこの運営と集落のこれからを考える~地域イノベーター留学の受入
そして昨年、NPO法人ETICが主催する地域イノベーター留学(コーディネート機関:イナカレッジ)を受け入れ、首都圏の若者4名、地元長岡の若者3名のチームによって、
・これまで以上に「やまびこ」にお客さんが来てもらうためには…
・法末集落が今後も元気であり続けるためには…
これからどんな取組が必要なのかをテーマにフィールドワークを実施しました。
2泊3日のフィールドワーク×2回のなかで、お茶飲みをさせてもらったり、物づくりを教わったり、日帰りホームステイで各家庭にお邪魔させていただいたり…
法末の歴史、震災や復興の話、暮らしのことなど、色々なお話を聞かせていただきました。
1月には賽の神にもお邪魔させていただきました。
途絶えた集落の伝統・道楽人形。そして復活への道のり
そして、イノベーター生7名と集落の人たちが議論して導き出されたキーワードが「道楽人形」
もともと20年くらい前までは法末で行われていたようですが、賽の神で「道楽人形」なるものを燃やしていたそうです。
道楽人形ってそもそも何?ということで写真がこちら↓
山の神様っていうのは女性らしく、その女性の神様に男性を模した人形を燃やして奉納するというのが由来らしいです。
写真では見えにくいかもしれませんが、男性のシンボルが強調された「道楽人形」を作って、昔は燃やす前にコンテストをやっていたそうです。
ちなみに、この道楽人形の話をムラの人たちに振ると
「あんな卑猥なもの…」
「下品な…」
と口々に言うものの、なぜかその表情はニヤニヤしていて嬉しそうなお父さんたち。(何気にお母さんたちも楽しそうに話をしてくれます)
そして、この道楽人形を燃やす賽の神が2017年1月に復活することが決まりました!
ただ、道楽人形を作るには大量のワラが必要です。
そのワラをゲットするために米づくりをやるという、何とも言えないロジックで、それを都会の人たちも巻き込んでやってしまおう、ということで、「道楽人形復活プロジェクト」が立ち上がりました。
早速、5月に「道楽人形復活プロジェクト~田植えと山菜づくしの旅」が行われました。
そして、「道楽人形復活プロジェクト」の第二弾のツアーとして、『草刈りと村の小さな祭りの旅』が7月23日・24日に行われます。
詳しくはこちらから。
「道楽人形復活プロジェクト」は、道楽人形を復活させることもさることながら、1月の賽の神に向けた一連のムラの仕事を体験しながら、法末に伝わるワザやチエを学ぶものです。
中越地震から12年が経った今、それぞれの集落では過疎化の波に立ち向かって、様々な活動を行っています。
今後もイナカレッジでは、頑張る集落の皆さんを応援し続けたいと思います。