「にいがたライフスタイルカフェ2016 」レポート VOL.1 移住夫婦のホンネ 〜 ふたりで、理想の暮らしに近づく〜

自分らしいライフスタイルを実現している先輩を招いて、これからの暮らし方について考える「にいがたライフスタイルカフェ」。

 

2016年第1回目のテーマは「移住夫婦のホンネ」です。新潟県で理想の山暮らしを実践している阿部ご夫婦と、四国を行き来して活躍する佐々倉ご夫婦をゲストとして、移住先では実際にどんな暮らしや仕事をしているのか、夫婦で互いに受けている影響などを男性と女性の目線で語ってもらいました。地方での暮らしを実行する際に悩みやすいポイントの質疑応答もお届けします。
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佐々倉愛さん(NPO法人Eyes)

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佐々倉愛さん(妻): 私はNPO法人Eyesでというところで、県内外の大学生と、一次産業から工業まで多種多様な愛知県の中小企業とのインターンシップ・コーディネーターをしています。生まれは香川県で、今は高知県の四万十町というすごく田舎な地域を拠点に、愛媛県にシェアオフィスの事務所を置いています。車でそれぞれ自宅から2〜3時間という移動距離の中で、娘を近所の保育園に預けて、お迎えの時間までにまた戻ることも時々あります。普段、娘はすぐ近くの四万十川で遊ぶことが多いんですけれど、有機農家のお友達がいるので、土いじりから、いろんな一次産業の現場のことまで今から伝えていきたいと思っています。

佐々倉玲於さん(一社いなかパイプ)
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佐々倉玲於さん(夫):こんなしっかりしている奥さまの旦那の佐々倉玲於(れお)と言います。僕は就職しなかったタイプの人間で、沖縄に進学してまちづくりのNPOを学生の頃に立ち上げてそのままそれが仕事になったパターンです。30歳の時に四万十ドラマの社長に出会ったことがきっかけで実家の高知に帰ってきたんですが、しばらく地元を出ていたので高知のことを全く知らず、つながりもない。なので四万十ドラマでしばらくお世話になりながら、田舎で仕事をつくることと、田舎に人を引っ張ってくることを同時に起こす一般社団法人いなかパイプをつくって、6年目を迎えてます。

阿部巧さん(にいがたイナカレッジ)
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阿部巧さん(夫):新潟から来ました、阿部と申します。潟県の真ん中辺りの長岡市の、4000人くらいの旧川口町に暮らしています。錦鯉の生産地で田んぼよりも池が多いような所で、耕作放棄地とかなかなか出ない地域です。

僕は大学進学で京都に行っているときに新潟県中越地震がありました。それで長岡に行きまして、そのまま居着いたという形です。地震のあった山間部の集落の父ちゃんたち母ちゃんたちが見たこともない山仕事の技を持っている人たちで、彼らのように川口に住みたいなと思っていました。結婚を機に川口に移り住んで、なんちゃって田んぼをしたり、薪を作ったり、買った家を自分で直したり、夜に好きなバーベキューをやったり、そんな暮らしています。仕事は、山の中で生活をしてみたい都市部の人たちと仲間になりながら、今日のイベントの主催のにいがたイナカレッジという団体で活動をしています。

 

阿部里奈さん(suzu)
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阿部里奈さん(妻):妻の里奈と申します。普段の活動は旧姓の栗原で活動させていただいています。私自身はもともと地方に暮らそうという思いはなくて、大学も東京で、東京のITエンジニアで大企業に勤めまして、今考えるとバブリーな生活をしていました。でも東日本大震災のときに買い占めが起きてお米をしばらく食べられなかった経験をしまして。それがとても衝撃的で、いかに自分がお金に頼っていたか痛感したんです。自分で野菜やお米を作るような、根本的なところを見直した暮らしがしたいなと思いまして、新潟に来て5年目になりました。お仕事としては、お米や日本酒だけじゃない新潟の良いものを発信していくことをやっています。今、取り組んでいるのは、日本初のレストランバスという真っ赤なバスの運行で、その企画やバスガイドのようなナビゲーターも担当しています。

 


二人でいることで、やってみたい暮らしを叶えやすく。


進行・山本:同業者同士の佐々倉夫婦と、憧れの山暮らしを実践している阿部夫婦ですが、馴れ初めは何でしたか?

 

佐々倉愛さん(妻):玲於さんが沖縄から高知に帰ってきたときに、「愛媛では何をやってるのか教えてください」とうちに来たのが初対面ですね。その後、「どうやら関東の人からしたら四国は何の県が4つあるのか分からないらしい」と聞いたので一緒に東京にPRに行ったり、「徳島ならあの人紹介できますよ」と会議を重ねていったのがきっかけですね。それを機に四万十の強引なおじさま方にも乗っけていただき、何とか結婚話までたどり着いた感じです。

 

阿部里奈さん(妻):私は、地方に住むきっかけを探していて、たまたまツアーコーディネーターのお手伝いで川口を訪れたときです。お客さまを車に乗せて出発しようというときにタタタッと彼が走ってきて、まるで白馬にまたがる王子様のように軽トラに飛び乗ったんですね。一目惚れでした(笑)。1泊2日のツアー中で地域のおじいちゃんが二人きりになる機会を作ってくれて、その時話してやっぱりいいなと思って。東京に帰ってからもずっと毎日プッシュをしまして、10日後に彼が東京に仕事で来るというので、私もプランを立てて「落とすぞ」みたいな。

 

 

佐々倉玲於さん(夫):すごいなー。

 

阿部里奈さん(妻):出会って10日後にお付き合いができまして、1年後に入籍をしました。もう一つ、私はその川口でロールモデルを見つけたんです。中越地震をたくましく乗り越えて生きるおじいちゃんとおばあちゃんたちが普通に当たり前に田んぼや畑をして、新鮮なもぎたての野菜を食べて「おいしいね」って笑い合って、夫婦も仲良くて。ときに言い合いしながらも支え合ってる感じが、私もこんな夫婦になりたいな、こんな生活をしたいなと思ったんです。

 

佐々倉愛さん(妻):同業者だから良かったなと思うのは、夫の仕事を大体理解していることですね。どれだけ重要な出張なのか、目の前にいない時間に何をやってるのか大抵想像が付くので、「仕事と私とどっちが大事?」みたいな話は1回も思ったことがなくて。忙しくても「どうぞどうぞ」という感じではあります。

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佐々倉玲於さん(夫):僕はやりたいことで生きていきたいので、あんまり細かいことを言わずとも全部わかっていただけるのはとてもありがたいです。いろいろ頼れる仲間はいるけど、仕事上でピンチになったり壁にぶつかるときにやっぱり安心感があります。僕にとって結婚や子育ては次のステージに上がるというか、自分が成長する上で必要なんだろうな。

 

阿部巧さん(夫):僕は最初、山の集落に週1日2日通う生活をしてたんですね。でも次第に、山の人たちの活動を応援する立場から、自分も地域の1人のプレイヤーになりたくなってきた。自分も手に技を身に付けていきたいな思いができてきた頃が妻と出会ったときでした。でも僕は生活力がまったく高くなくて、自信がなかったのが正直なところで……。自然相手なので山暮らしは忙しいんですね。家の仕事は子どもができたらなおさらいろいろやることもあるので、やりたい山での暮らしをするには2人でいるから生活が成り立っているなと思います。

 


価値観の違いは実体験と共にすり合わせていく。

地方での出会いは、手厚いバックアップも!


進行・山本:ありがとうございます。ここからは会場から質問を受けたいと思います。

 

Q:付き合っている彼女は東京に住みたいそうなんですが、僕は東京もいいけれど、田舎にも海外にも住みたい。どうしたら価値観を合わせられるのでしょうか。

 

佐々倉愛さん(妻):働き方と、パートナーとの時間の取り方、暮らし方はそれぞれ違うかな。私も実際にやってみて感じることと、やる前にイメージしていたことは全然違いました。田舎に行けば「ここでは住めない」と思うかもしれないし「東京がいいな」と思うかもしれない。実体験と共にやっていくのかなと思います。

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進行・山本:まずはお気に入りの地域に彼女を連れて行くといいかもしれないですね。実際に体験することで考え方が変化しますし。

 

佐々倉玲於さん(夫):コンビニまで40分の田舎が残っている高知県では、2段階移住が結構流行ってます。まず物件を選びやすい高知市内に移住して、2、3年後に行きたい田舎を選ぶ移住をやっている人たちもいますよ。

 

阿部里奈さん(妻):移住者が移住しやすい地方の都市部って本当に便利なんですよ。のどかな田園風景がありつつも5分ぐらいでコンビニやスーパーもあるし、車があればすごい便利です。病児保育も託児も長岡市は整っています。地方によって本当にそういうレベルがまったく違うので、何か「こういう地方に行きたいな」ってイメージがあるときは段階を踏むといいと思います。もしくは今、自分の軸をどこに置くのかがすごく重要ですよね。仕事中心に軸を置くならば地方都市でもいいかもしれないし、東京にしかない仕事かもしれない。

 

Q:私はいま40代なのですが、どの年齢が受け入れられやすいでしょうか? 年齢的な制約はありますか。

 

阿部巧さん(夫):年齢よりも、まじめに働くのと受け入れる素直さがあることが大事ですね。去年、40半ばぐらいで1カ月取りあえず来たっていう人も、地域になじんでいます。彼はやっぱりまじめに働いたし、「ここはこうだぞ」言われたら「そうなんですね」って、まず地域の人たちの教えを素直に学ぶ姿勢を持ってましたね。

 

佐々倉玲於さん(夫):あと、結婚したい人がいれば、一応その地域の中にも40〜60ぐらいで独身の男性や、どこかと引き合わせたいって思う女性もいっぱいいたりして、チャンスはないようであります。ただ、独身でいたい場合も結婚しろしろとずっと言われると思います。だから独身でい続けたい人はちょっと苦痛かも(笑)。

 


地域での仕事はつながりが大事。

教育も、地域の特徴を生かした形をもっと模索できるはず。


 

Q:地方で団体を立ち上げる際、どんなふうに仕事につながっていくのでしょうか。

 

佐々倉玲於さん(夫):地域でつながったり、信頼関係ができてから、その後仕事になる順番ですね。「あいつは書類が書けるらしい」と噂が広がるとそういう仕事が来たり、行政からも「こんな仕事やりませんか」と依頼が来たり、どんどん仕事が回ってくる。何者かが知れ渡ることが田舎では大事なので、時間はかかります。2〜3年でビジネス確立させて……という考え方だとちょっと難しいかも。

 

進行・山本:阿部夫婦、佐々倉夫婦とも共働きをされています。田舎では共働きが必須というよりは、互いにやりたいことがあるからでしょうか。

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阿部巧さん(夫):そうですね。どんな暮らし方をしたいか次第だと思います。お金のこともあるかもしれないけど、多分、奥さんは仕事をしないではいられない人なので。暮らし方次第で、いろんな暮らし方のバリエーションをつくれる。逆に田舎のほうが選択肢は多いと思います。

 

 

Q:私もいずれ移住して、自然のあふれる環境で子どもを育てたいと思っています。でも地方だと教育費は高くなってくるのでしょうか。

佐々倉愛さん(妻):今は、教育費は保育園に預ける費用ぐらい。医療費は中学生ぐらいまで無料だったり補助もあったりするので、お金は多分私たちの方がまだまだかかってるんじゃないかな。場所によっては高校以上はいずれか(県外)に出ないといけない時もあるので、それまでにちゃんと選択肢を選べるような知識はあげたいと思ってますね。ただ、この高校しかないって思わせるんじゃなくて、知り合いはたくさん増えていくので、誰かを頼りにして生きていけと言うつもりで今は刷り込んでいます。

 

阿部里奈さん(妻):皆さんご存じの通り、四大出て正社員になって大企業に勤めてそれで定年までという定説は崩壊していますよね。極端な話かもしれないですが、ロボットができる仕事が増えて、人の仕事がどんどん減っていくとも言われている中で、じゃあ私たちはどういうふうに働けばいいのか、私たちの頭の中のスイッチを切り替えなきゃいけない。その臨機応変さを養えるように子どもを育てていきたいなと考えると、地方にヒントがあるんじゃないかなと。何もないからこそいろいろ生み出せる、自然との関わり方も学べる。地方だからこそ、これからの時代に向けて必要な、最高の教育の場なんじゃないかなと思ってます。

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次回のライフスタイルカフェは7月28日19:00〜

にいがたライフスタイルカフェページ

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