「地域で暮らす若者の実態」~移住者の「仕事」と「家計」を分析する③~

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前回に引き続き移住者3事例の「移住に掛かる支出」を見ていきます。

 

 

移住者はどんな生活をしているんだろう?「生活費はどれくらい?」」「収入はどこから得ているの?」なんとなく、わかるようでわからないその生活。
このシリーズでは、そんな疑問を調べて「地域の移住後の生活」をイメージするお手伝いをしていきたいと思います!

「地域で暮らす若者の実態」~移住者の「仕事」と「家計」を分析する①~
「地域で暮らす若者の実態」~移住者の「仕事」と「家計」を分析する②~

 

今回もアンケート協力者からモデル世帯を抽出し移住時に掛かった費用並びに貯蓄額と、移住後の貯蓄額の推移から、「移住に掛かる支出」を見ていきます!(移住時の貯蓄額を基準(0)としています)

 

 

ヒアリング実施世帯の概要

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事例③20代女性の専業農家

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C氏は、東京の大学に在学中に、現在、住んでる地域の農作業体験で何度も通う様になりました。大学を卒業後、就職せずに集落に移住する。現在は、地域のNPO法人から月5万円の手当と住居を借りて生活しています。地元のNPO法人が所有している施設で生活しているため移住に掛かった費用は引っ越し費用のみです。その後、NPO法人からの手当である月5万で生活を送りながら、農業を始める。その後、NPO法人手当+農業+地域の農家の手伝いや除雪、プールのインストラクターのなどのアルバイト収入を得ています。

また、今年の10月からは農林水産省の青年就農給付金の助成を受けている。この青年就農給付金とは、都道府県が認める道府県農業大学校や先進農家・先進農業法人等で研修を受ける就農者に、最長2年間、1年間150万円を給付する制度で、この制度が大きな収入源となっています。

C氏の特徴は家賃や水道光熱費の支出が0円(地元のNPO法人が負担)である事と、NPOからの手当(月5万円)が支給されていることである。また、国民年金の「年金免除制度」を活用し支出を抑えています。

今後は、青年就農給付金などを活用し農産物の加工品の販売を始め、新たな収入源の獲得を目指しています。

 

事例④20代男性自営業

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D氏は大学を卒業後、神奈川県で民間企業に就職したが、諸事情で退職。退職後は、農村で暮らしたいと思いはじめインターネットなどで田舎暮らしの情報を集めます。そこで、インターンシップ事業を見つけ応募し、1ヵ月間、中越地区で生活します。その後、もう少しこの地域で暮らして見たいと思い農林水産省の田舎で働き隊事業を活用し、半年間生活する。田舎で働き隊期間中は一定の所得があるため貯蓄額が増えています。

田舎で働き隊終了後は、地元行政の紹介で、地域の授産施設に期限付き(1年)で就職する。この期間は、田舎で働き隊期間中より、収入が下がっているため、貯蓄額も減少しています。

雇用期間終了後の事を考えている時期に、内閣府の地域社会雇用創造事業の起業支援金の話を聞き、乾燥野菜の加工品事業で応募する。この起業支援金を元手に設備投資し、事業を始めます。しかし、事業開始当初は、収入が得られないのでアルバイトをしながら事業を行っています。

D氏の特徴は、田舎で働き隊制度を活用し、一定の所得の確保と、起業支援金を活用した所得の確保である。各種支援制度を活用し、定住の道を模索しています。

今後は、乾燥野菜事業を中心として、様々な仕事を掛け持ちし収入の安定を図ります。

 

事例⑤30代女性NPO職員

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E氏は、大学時代から現在住んでいる地域に通っていました。大学卒業後は民間企業に就職。退職を考えていた時期に、ちょうど通っていた地域に空き家が出たため移住を決意します。

地域の空き家を借りたため、移住の初期投資がかかっています。移住直後は、短期のアルバイトをしながら生活している。移住から1年経過した時に田舎で働き隊制度を活用します。

D氏と同様に田舎で働き隊期間中は一定の所得があるため貯蓄額が増えています。その後、地元のNPO法人に就職し一定の収入を確保して生活しています。

2011年3月12日に発生した震災の被害を受け、避難所生活を送る。自宅も大きな被害を受けており、現在は仮設住宅生活を送っている。震災の義捐金で、貯蓄額が大幅に増えているが、修繕費用などに充てています。

E氏の特徴は、移住前に積み立て支援制度を使っていない事による、初期投資に掛かる経費が掛かっている事です。

今後は、NPO法人の収入に加え、自宅を改装した体験交流施設を運営しながら新たな収入源の獲得を目指しています。

 

まとめ

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最後に調査結果の分析です。

まず、移住の初期投資を見ると補助制度を活用した世帯や地元と住宅や、雇用のマッチングができた世帯は引っ越し費用のみで、それ以外の世帯は、修繕費などで100万円程度掛かっています。

次に移住後の収入では一定期間、安定した収入が得られる「地域おこし協力隊」や「田舎で働き隊」の制度を活用している世帯は、制度の期間中は貯蓄額が増えていました。

それ以外の世帯も短期のアルバイトをしながら所得を得ています。

また、社会保障制度の活用については、子ども手当てや、年金免除制度を活用することにより、移住者は支出を抑えています。

次回は、移住者の仕事を分析していきます!

このレポート(①~③)の全スライドはこちらダウンロードできます!

 

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