【終了しました・レポートアップしました】中山間地域農業~農村の豊かな環境を維持・継続していくために~

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■日時:7月30日(火)14:00~17:00
■会場:小国地域総合センターだんだん(長岡市小国町新町304番地1)
■講師:三沢眞一氏(新潟大学名誉教授 農学博士)
■内容
中山間地域農業の今後の営農について考える。中山間地域直接支払制度、農地・水・環境保全向上対策などの制度や、地域農業の担い手としての生産組合やその営農方法の取組、現状の課題について学ぶ。
■講師発表資料
中山間地の農業の概況と その活性化方策

中山間地域とは

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中山間地には、「法律上の定義」と「農林統計上の定義」があります。
中山間地域は、農地の条件が悪い地域として法律で支援しなければいけない。そのことから、特定農山村法、山村振興法、過疎地域活性化特別措置法、半島振興法、離島振興法等により中山間地域が定義されています。統計上の定義としては、全国を都市的地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域の4地域に分けています。ここでは、中山間地域は、中間農業地域、山間農業地域を合わせたものを言います。

平成11年に、これまでの「農業基本法」から「食料・農業・農村基本法」に法律が変わりました。この時に、農地の多面的機能という言葉がはじめて言われました。食料生産だけではなく、色んな機能が備わっているということをきちんと定めました。

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1980年頃から耕作放棄地が増えていくと、地滑りの発生率も上がっていく、きれいな線が描かれています。棚田が耕作されることによる地滑り発生率をおさえる効果があります。山間部は、秋に代掻きをして「冬水」を溜めます。そのことにより浸透水を抑えます。そうしないと乾いた田んぼのひびから雪解け水などがしみ込んで、地滑りにつながります。また水を溜めておくことで生き物にとってもいい環境になります。そのことによって昔はトノサマガエルなどがいっぱいいました。なぜ最近カメムシが増えたのかは、トノサマガエルがいなくなってことが原因だと言われます。

■参考資料■
▼新潟県の地域振興関係法等に基づく地域指定の状況(PDFファイル)
▼「食料・農業・農村基本法」のあらまし

中山間地域農業の状況

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中山間地域と平場地域の違いを見ると、1戸当たりの経営耕作面積は半分くらい、耕作放棄率や高齢化率も高い。1戸当たりの清算農業所得も、2/3いかないくらいです。明らかに平場に比べると厳しい条件です。

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これは、中越大震災後に調べた栃尾の山腹水路です。山間部は、ポンプを使わないで、できるだけ自然に水をとってきます。その水を持ってくるために山の斜面に沿って水路があります。これは、非常に災害に弱いものです。また面積が10haに満たないのに、水路が4km誓いところもあります。災害だけではなく、春先にいざらい(水路掃除)をしないと水が流せないわけです。高齢者にとっては、この山腹水路の管理が大変になってくるわけです。

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■参考資料■
▼新潟県・中山間地域等の状況

中山間地域の活性化政策

政策的に様々な支援策をとっています。中山間地域対策5法というものがあります。過疎法、山村振興法、特定農山村法、離島振興法、半島振興法、プラス新潟は、特別豪雪措置法が関係します。これらの法律によって、事業の国の負担率が高くして、地元の負担率を下げるということをやっています。

施策は、「地域格差の是正」が目的です。ただ、それが環境施策なのか、生産施策なのかということが非常にあいまいであることが特徴です。

先ほど触れた「食料・農業・農村基本法」ではじめて、多面的機能という言葉が出てきましたが、その主要施策として中山間地域直接支払制度が出てきたわけです。簡単に言えば、5年間農業を続けることを約束した農業者に対して交付金を交付する制度です。また、その交付金を受け取って様々な管理をしてくださいという事を言っています。5年1期で現在3期目に入ってきたわけです。これはヨーロッパがモデルですが、ヨーロッパの場合は、国境付近で農業を続けるということが、国境を維持する上で重要なんですね。

■参考資料■
▼新潟県・中山間地域直接支払制度を活用した取組事例

事例:長岡市小国 森光集落

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新潟大学の農学部に、集落の活性化のためにアイデアを欲しいということで、リーダーの小島さんという方が来られました。この小島さんはそのアイデアを聞くだけじゃなく、すぐ実践する方でした。大学として提案したのが「もりひかり」という酒米を提案しました。現在35アール・2400本まで来ました。大学の教員や学生もこの集落によく訪れています。現在、もっと色んなものを作って売ってみたらということで、おかあちゃんたちの漬物や農薬をあまり使わない野菜などで差別化したり、もりひかりの酒粕の活用などをやっています。
非常に優秀な集落ではありますが、どこでもできるかというとそんなに簡単ではないですし、優秀とは言っても過疎・高齢化は止まっていないし、棚田の経済不利性は変わらないわけです。そこでどうすればいいか、都市からの応援や政策支援は欠かせないわけです。

■参考資料■
▼農事組合法人森光担い手生産組合

事例:見附市小栗山町

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私の住んでいる集落です。ここは、平地農業地域になると思います。圃場整備が終わったことを機会に、機械の利用組合を集落の班ごとに作りました。その後平成18年に、機械を変えなければいけない時期にもなったし、今後を考える中で1つの生産組合を作りました。現在45歳の男性を月給制で雇用しています。
農地水環境保全向上対策に集落として取り組んでいます。小栗山ホタルを守る会というものが核になっています。この会は、平成16年の新潟福島豪雨災害で、2つの堤(ため池)が大きい被害を受けました。そのことにより小栗山に生息していたゲンジボタルが壊滅的な状況になりました。それをなんとか復活させようという取組として、つつみの自力復旧やゲンジボタルの再生、環境を守りながら農業をやろうという取組が生まれました。

■参考資料■
▼小栗山町ホタルを守る会

最後に

中山間地域は農業不利地域ということだけで片付けていいのか。元気な高齢者や生活の場としての魅力がある。一方で都市の若者の生きづらさがあるわけです。都市が農村に学ぶ時代なのではないでしょうか。

  • 小国地域総合センターだんだん(長岡市小国町新町304番地1)
  • 7月30日(火)14:00~17:00