「地域の食文化を次の世代にちゃんと残したい」
2004年にテント市からスタートした地域の母ちゃん達の野菜の直売の取組は、今や地域が誇る農産物直売所「千年の市 じろばた」になりました。
十日町市川西地域の中心部にあるじろばたは、23人の超元気な母ちゃん達が運営しています。“地域の食文化を次の世代に”を合言葉に、野菜の直売の取組だけでなく、手作りの食事やお惣菜、菓子など、地域に伝わる郷土料理を提供しています。
じろばたとイナカレッジの出会いは、2013年に元十日町市の地域おこし協力隊からの紹介がご縁で、2015年からイナカレッジの1年間の長期インターンの受入を開始します。
「若い力にお婆たちが引っ張られていく!」
イナカレッジのインターンは、2015年に20歳の女子大生(休学)、2016年に22歳の女子大生(休学)、2017年に20代の社会人女性の3名がそれぞれ1年間活動しました。
じろばたがある十日町市川西の空き家をお借りしてインターン生の一人暮らしが始まります。じろばたの代名詞「そばいなり」やあんぶなどの郷土料理を学んだり、直売所に出荷する農家さんのお手伝い、山深い中山間地域の小さな集落での米づくり、さらにインターン生は地域の祭りや行事などにも積極的に参加しました。
じろばたでは、「あまり店に拘束しすぎないようにして、インターン生がやりたいことをやれる環境を作ってあげる」という意識で受け入れていただいていました。“見守る”“失敗しても良いから色々やってみろ!”というスタンスで、じろばたとインターン生との間には“教える”と“学ぶ”の関係性が築かれていきました。
そしてじろばたでも、たくさんの変化が起きました。インターン生を受け入れたことでじろばた内の話し合いが活発になったり、情報発信(広報ツール)が強化されたり、そして何よりも、母ちゃん達がインターン生に色々と“教える”ことで、母ちゃん達自身が若い力に引っ張られて気持ちが若返ったことだと言います。
実はテント市からスタートして10年経った頃、マンネリ化、年齢的なもの、さらに当初の設立メンバーも半数くらいは家庭の事情などでいなくなり、正直モチベーション的にはどん底の状態だったそうです。そんなタイミングでインターン生が入ってきたことで、母ちゃん達の活力が急上昇したと言います。
『じろばたがなくなってしまうと、川西の郷土料理を守る人がいなくなってしまう。そのためにはじろばたが持続できる経営体制を作る。そして若い人が楽しく働ける環境を作る。』『お客さんを待ってるだけの商売ではなくて、これからは攻めていく商売に切り替える』これが今のじろばたの目標になっています。
“自分が活きる場所”を見つける!
実は、じろばたでの1年間のインターンをきっかけに、十日町市に定住するインターン生もいます。イナカレッジでは定住を目的としているプログラムではありませんが、定住する・しないが重要なのではなく、なぜ定住したいと思ったのかということに意味があると思っています。
彼女たちは1年間インターン生として過ごす中で、「失敗しても大丈夫」「何とかなる」という肯定感をたくさん感じたり、世代を超えてたくさんの人たちと関わるなかで、「好きな人たちがいる地域で暮らしたい」という想いになったそうです。また定住しなくても十日町に通ったり、この先もずっと地域との関係性を持ち続けたいと言います。
何よりも、インターンをつうじて、“自分が自分らしく”“自分が活きる・活かされる”場所を見つけることが出来たということではないでしょうか。