ムラに学ぶ、ヒトに学ぶ、自分らしいライフスタイルを実現する。
木沢での暮らしを通して 【田中早紀】

こんにちは、事務局の井上です。

イナカレッジ2017夏の短期インターンレポート、もう何人目か分かりませんが笑、木沢集落で1か月を過ごした田中早紀ちゃんのレポートです。

木沢の人が作った歌をなんと伴奏をつけてみんなで歌えるようにしてくれた早紀ちゃん。最後、集落の人とコーディネーターと学生みんなで歌ったあの光景は、きっと早紀ちゃんがいなかったら見れませんでした。

そんな早紀ちゃんのレポートです、どうぞ!

 

参加した理由とミッション

2017年8月16日から9月17日、新潟県長岡市川口地区の木沢集落で、1ヵ月のインターンを行った。

 

6月下旬、Facebookを通して、イナカレッジのホームページにたどり着いた。ホームページ内で紹介されている短期インターンの内容を読んで、「これはやってみたい!」と思って、応募することにした。やってみたい!と思った理由は大きく分けて3つある。

一つ目は、地域の人たちと深いコミュニケーションをとりたいと思ったからである。大学の授業や課外活動で、一日ないしは半日、集落に訪問して交流したことがきっかけで、より深く地域と、地域の人々と関わりたいと思う気持ちが強くなった。

二つ目の理由は、このインターンのミッションにある「木沢セットを作って届ける」という内容を読んで、自分で何かを考えてつくって、それを誰かほかの人に届ける、という経験をしてみたいと思ったからである。自分で何かを企画したことはあっても、それを実行に移すことまでやった経験はほとんどなかった。大学生のうちにこのような経験をしてみたいと思っていた私にとって、このインターンはとても良い機会だと思った。

そして、最後の理由は、自然豊かな暮らしへの憧れである。私自身は自然に触れながら生活する機会はほとんどなかったが、両親はどちらも田んぼをやっている家で育ったため、田んぼの話や畑の話について何度か話を聞いたことがあり、自然に囲まれた生活への憧れを持っていた。

これらの理由から、私は木沢へのインターンの応募を決意した。

 

私たちのミッションは、「2017年夏の木沢セットを名誉村民の方々に届ける」という内容である。

木沢集落は、かつて中越地震で甚大な被害を受けた。その復興や木沢の活動に積極的に参加した方に、木沢集落から「名誉村民」という称号が送られている。その名誉村民の方々に喜んでもらえるような商品をつくって販売し、届ける。これが私たちの1ヵ月のインターンの中でのミッションだった。

 

8月16日、コーディネーターのみずほりんに長岡駅から送ってもらい、私たちが住む里山ハウスに到着した。そして、インターン生であるゆりえとみのりんと一緒に、木沢でのインターンがスタートした。

木沢到着1

集落の人と話す日々
1週目は、集落の人たちに挨拶をした。木沢集落は歩いて1周できると聞いたのだが、実際は坂道が多く、坂を上るだけでとても疲れてしまった。

集落の人たちは、クタクタの私たちに「お茶飲んでいけや!」と声をかけてくれて、お宅にお邪魔し、最近あったことや畑のこと、自分の好きなこと、野菜の活用方法などをお話したり、お話を聞いたりした。

山の生活や木沢のことをほとんど知らない私にとって、おじいちゃんやおばあちゃんたちの話を聞くということは、その人の生き方を知ることができたり、自分の知らなかった知識や情報を知ったりすることができる時間で、とても面白かった。

お茶飲み5

また、お話の中で、むらの人についての話題にも触れることがあった。

「ここのお母さんは料理が上手」「ここの人は毎日2km歩いている」「この人はお酒が大好きなんだよ」・・・長年付き合っているから、お互いのことをよく知れるのだと思った。

私の今までの生活を振り返ってみると、隣に住んでいる人は普段何をしているのかわからないことが多かったから、こういうふうに集落の人たちがお互い何をしている人なのかわかっているのを見て、とても新鮮な気持ちになった。お話

自分が大切にしたいものは何か

2週目は、前から予定していた用事で抜けなければいけなかったため、1週間木沢にいることができなかった。そして、3週目に木沢に戻ってきたときにミーティングで、「木沢セットに何を詰めるか」という話になり、私自身、ミッションの達成に向けてやるべきことを考え始めることになった。

いくつかの意見を挙げた結果、ゆりえが集落の方を撮影したポストカードを担当し、みのりんは木沢セットのデザイン、私は野菜を集落の人からいただく担当に決まった。

しかし、行動に移す前の準備段階で、どこか自分の中にあるもやもやがあふれてきた。

コーディネーターの有紀さんや、インターン生のゆりえとみのりんに、言葉にうまくできないもやもやを、不完全な言葉にしながらも聞いてもらった。

その中で、「さきちゃんは誰にこの商品を届けたいの?」とゆりえから質問されて、はっと気づいた。二人に聞いてもらって、届けたい相手が自分でもきちんとわかっていなかった。

インターンのはじめにやった「西田合宿」で、「お客さんが誰なのかを考える」と言われたことを忘れていたし、あと2週間の期間でミッションを達成することばかりに意識が向いてしまっていることが分かった。

私が心から木沢セットを届けたい相手は誰なのか、その相手に何を届けたいのか、自分が今まで過ごしてきた時間で感じたものは何か、自分が大切にしたいものは何か、といったことに目を向けていなかったし、これから目を向けるべきなんだ、と思った。
その後は、コーディネーターの方や、インターンの二人にも支えてもらいながら、散歩に行ったりお茶飲みに行ったりしながら、ここに来て何を感じてきたのかを振り返りをしたり、何をしたいのかを考えた。

お茶飲みをしているときに、毎日、集落の人たちの話を聞く中で、何かしら新しい発見があって、それがとても豊かな時間だったことに改めて気づいた。

てづくりの漬物や料理をいただきながら、今の野菜の採れ具合とか、最近ハマっていることとか、いきいきと生きている様子を話してくれて、集落の人たちは日常に喜びを感じながら生きているのだなぁと感じた。自分がこのインターンが終わっても、この人たちとお話したことや楽しかったことを忘れたくないな・・と思ったときに、自分にこの人たちとのお茶飲みの記憶を残して届けよう!と決めた。
だから、4週目のミーティングでは、成果発表まで4日しかなかったものの、木沢セットに「お茶飲みBOOK」を詰めることを宣言した。

決まったら、すぐに幸一さんのところにお茶飲みに行って、音声を録らせてもらった。地震が発生したときの話、のど自慢に出場した話、闘牛の話、かつてのインターン生の話など・・ところどころ方言が聞きとれなくてわからない部分もあるのだが、幸一さんは次々とお話を続けた。

1時間くらい経ったとき、突然マジックも披露してくれた。タネがバレバレのマジックだったが、それはそれで一緒に笑えて、いい時間だった。集落の人のお話を聞くのが好きなんだな、と思った。幸一さん

「お茶飲みBOOK」づくり

お茶飲みが終わって帰ってきてからは何度も音声を聞いて、まずは幸一さんがおっしゃっていたことを一字一句、文字に起こした。

けれども、方言が聞きとれなくて理解できない部分もあって、どのようにお茶飲みの様子を冊子にまとめるか、とても迷った。ただ、方言が聞きとれないことも、幸一さんと話をするときならではのことで、幸一さんの言った言葉を推測するのも、自分の中で面白いと感じていた。

そのときの気持ちや雰囲気を、遠くにいても思い出せたらいいと思ったので、できるだけ幸一さんが話したままの言葉で書こうと決めた。

前日にはコーディネーターの方の力もお借りしながら印刷をし、なんとか成果発表までに完成させることができた。今思うと、この1週間は本当に突っ切った感じだった。

 
発表の日

そして、成果発表の日。

成果発表は、昼と夜にそれぞれ一回ずつ行った。

集落の人たちが真剣になって聞いてくれたことが本当に嬉しかった。この一ヶ月、村の人たちはお茶飲みに誘ってくれたり、きずな館やラーメン、みはらしやに連れて行ってくれたり、アルパカや闘牛場を見せてくれたり、二子山に連れて行ってくれたり、大根まきやしそジュースを教えてくれたり・・・むらの協力なしには毎日の山の暮らしをこんなに充実させることはできなかっただろう。

一人一人があたたかく迎えてくれて、この1ヵ月ここで暮らすことができたのだと改めて実感した。報告会2

実は、成果発表で楽しみにしていたことがあった。

それは、靖さんが作詞作曲した「美し木沢」の披露である。

靖さんは、木沢にある植物はほとんど知っている。二子山に連れて行ってくれたとき、一つ一つ丁寧に私たちに植物について解説してくれた。この「美し木沢」の歌詞の中には、四季折々の植物や風景が出てきていて、靖さんだからこそ紡げる言葉が歌詞の中に詰まっていると思った。

インターン中の休みのときに、新潟に帰って「美し木沢」を口ずさんでいたら、ふと木沢での暮らしが思い浮かんだ。木沢の人はもちろん、木沢を離れた人たちも、「美し木沢」を聴いたり歌ったりすることで、木沢での懐かしい風景、出来事、人を思い出すきっかけになったらいいな、と思った。

成果発表会に来てくださった木沢集落の方に披露できることは、私がやりたいことへの一歩だったので、とても楽しみにしていた。

二子山2

そして、本番。昼夜どちらも披露したが、どちらもとても好評だった。

特にお母さんたちからは「歌詞がいいね!」と言ってもらえた。夜の成果発表会では、靖さんとコーディネーターの方と私たちインターン生で一度披露したあとに、来てくれた方々たちにも歌詞を配って、一緒に歌った。

伴奏を弾いていると、むらの人たちやむらに関わっている人たちが歌詞を見ながら、楽しそうに歌っている姿を目にした。

スカイプでその様子を見ている去年のインターン生のしのちゃんとあめちゃんははじめはびっくりした様子だったが、嬉しそうに聴いてくれていた。こういう姿を私は見たかったんだ、と思った。

この音声は、のちに去年のインターン生が企画した「Bargee」というCDに収録され、木沢セットに詰めることになった。

このCDを聴いて、名誉村民の方々にも木沢の懐かしい景色や人を思い出してもらえるきっかけになったらいいな、と思う。

報告会

1か月を振り返って

こうやって振り返ってみると、いろんな人たちと出会い、いろんな人たちの感性に触れながら、山で暮らした1ヵ月間だった。

このインターンを通しての気づきや変化について述べるとすると、自分の好きなものが何か、自分のしたいことが何か、ということを考えるようになったということだと思う。

「冬の間、大雪で畑仕事ができなくて、家の中で編み物を始めて、座布団や巾着袋をつくるようになってね。」「小学生が使うような絵具で、植物とか人の絵を描いている。」「むらに来た人に喜んでもらいたいから、餅をついたり、畑を開放したりするんだよ。」

こうやって、集落の人たちはいつも楽しそうに好きなことを話してくれた。私はそれを見て、私も好きなことを好きだと自信を持ってやってもいいんだ、と思えた。

このインターンを通して、お話をすること、歌を歌うこと、誰かが喜ぶことをすることが自分にとって好きなんだな、と自分自身で認めることができたし、生活の中でもっと「好き」を見つけて、楽しみながら生きていきたいと思っている。
最後に。

帰り際に、いつも私たちのことを気にかけてくれた隆一さんが、私たちに「木沢とのつながりは始まったばかりだから。これからだから。」と言ってくださった。

インターンは終わってしまったけれど、木沢集落の皆さんとの関わりは、まだ始まったばかりである。これからも木沢に通い続け、自分が木沢の人たちとやりたいことや、自分の好きなことを探して、実行していきたい。

木沢集落の皆さん、コーディネーターの皆さん、一緒に支え合ったインターン生のゆりえとみのりん、支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします!

田中 早紀

種まき

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