ムラに学ぶ、ヒトに学ぶ、自分らしいライフスタイルを実現する。
にいがたライフスタイルカフェ2016 レポート VOL.4 地域をコーディネートする仕事 〜 人と人をつないで、地域の未来をつくる 〜

 

「おもしろいことに取り組んでいるなあ」と思う地域には、人、モノ、資金をつなぐ「コーディネーター」と呼ばれる方々が存在します。とはいえ、仲立ち役の彼らは表舞台にあまり出てこなかったり、はたまた“コーディネーター”ではない異なる肩書きを名乗っていたり。地域で何かを仕掛けるために重要な存在でありながら、まだまだ知られていないことが多い「地域をコーディネートする仕事」について、三者三様のゲストからその実体について語っていただきました。

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ゲスト:中川 玄洋(なかがわ げんよう)NPO法人学生人材バンク
    伊東 将志(いとう まさし) 株式会社熊野古道おわせ
    日野 正基 (ひの まさき) にいがたイナカレッジ
モデレーター:長谷川 奈月 (はせがわ なつき)NPO法人ETIC.

 

 

 

中川:

鳥取県鳥取市から参りました、NPO法人学生人材バンクの中川玄洋と申します。僕は、今37歳で、子どもが2人いまして。現場に子どもを連れて行句など公私混同で、うまく家族の仲が良くなるような形を大事にしながら仕事をしています。

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実は静岡の出身で、大学進学をきっかけに鳥取に来ました。大学3年生に地域の方といろいろお祭りやイベントのお手伝いをしたり、アルバイトの相談をもらったりしていまして、非常にそれが面白かったので、大学院1年生の時に学生団体を立ち上げます。それがNPOになったのが、学生人材バンクですね。

最初、僕が入っていったのは鳥取県内の農村集落で、地域の労働力が足りないところに若者を送るということをやってきました。大学でも農業を学ぶけど、実践自体はあまりできないんですね。なので、地域がやってもらいたいことと若者がやりたいことを、なるべくリーズナブルにつなぐということを10年ぐらいやってきています。

 

日野:日野と申します。このライフスタイルカフェの企画運営をやっていまして、普段はゲストからお話を聞く側なんですけど、今日はしゃべる側としてよろしくお願いします。

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大学時代に中越地震の復興支援に関わって、その後、中山間地域への移住について、イナカレッジという団体を立ち上げました。「ムラに学ぶ、ヒトに学ぶ、自分らしいライフスタイルを実現する」がコンセプトで、ムラやヒトの魅力を感じながら、自分に合ったライフスタイルを見つけて、実現するきっかけをプログラムとして提供しています。あまり移住支援の事業とは強くうたってはないんですが、農山村でいろいろ地域の人たちに教わりながら生活してもらって、実際にプログラム参加の後に移住した人もいます。そのサポートをやったりもしていますね。その他にはインターンシップ事業も運営していまして、1年間の長期、1カ月間の短期の両方のプログラムがあって、長期は社会人がメインでたまに学生、短期は学生がメインの参加者として来てくれています。

 

伊東: 初めまして。三重県の尾鷲市から参りました伊東と申します。尾鷲は、もしかしたら日本一雨が降るところとしてご存知かもしれません。

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僕は、生まれてから高校までずっと尾鷲市にいて、18歳でそのまま尾鷲市の商工会議所に勤めています。僕は今42歳なんですけど、自分の生まれ育ったまち以外で暮らしたことがありません。それこそ17歳のときに「田舎こそ絶対に面白いし、素晴らしいところだ」「僕はどこにも行かない」ということを決めて、なんと先見の明がある、と自分で言うようにしているんですけど。

僕は最初はインターンシップ生の受入先としてスタートしてまして、いわゆるコーディネートを「してもらう側」でした。今は、商工会議所時代に自分でお手伝いをした株式会社熊野古道おわせというまちづくりの会社に移籍というか、道の駅のような施設の管理運営をお仕事としています。名刺の肩書としては「夢古道おわせ」「夢古道の湯」の支配人です。まちづくりの会社として施設運営でしっかりとお金を稼いで、出た利益からまちのことをやっています。最近は、ETIC.さんの地域イノベーター留学のような東京のプログラムを活用させてもらったり、自分たちで地域の課題をプログラム化して、そこに人をマッチングして推進していく、というやり方をとったり、引き続き尾鷲のことを頑張っています。

 

 

コーディネートは多種多彩!地域に必要なことを、仕事にする。


 

長谷川:ありがとうございます。ここからは会場の皆さんからの質問に順に答えていただけたらと思います。

まず、「移住者・定住者のサポートってどんなことですか?」「コーディネーターとして必要なスキルといったものはありますか?」

 

中川:サポートは、1つは(外部から人が来た時に)コミュニティーがないことが多いので、飲み会を毎月開催したり、話を聞いてあげたりする機会を作っています。若者だと、TwitterやFacebookといったSNSに日記のように弱音を記したりするので、「ご飯食べに行こうか」と声をかけたり。その他には起業したいという相談を受けたりもします。うちは銀行と業務提携しているので、金融機関の方と一緒にお話を聞句など具体的なこともしています。あとは、自分ではできないことは、任せられる人を紹介していますね。

 

日野:玄洋さんとほぼ同じなんですが、ルールを分かっているその地域のリーダーにつないだり、「ここで人が足りない」とか「そっちの仕事があるよ」とか、仕事を回したりもします。

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伊東:移住にしても創業案件が多いですよね。そこにも地域ならではの難しさがあるから、例えば区長さんに一緒に会いに行ったり、コミュニティーへの入り方は気をつけているところですね。あと、僕の場合はインターン生の受入企業としての経験を踏まえて、学生と一緒に何かやるときは師匠と弟子の関係をイメージしてます。それは学生だけじゃなくて社会人に対しても同じ感覚ですね。

 

長谷川:ありがとうございます。「SNSの投稿を見て声を掛ける」といったことって本当に大事なんですけど、「それって仕事なの?」「どう稼いでいるんだろう?」と思われることも多いですよね。でもここ数年、外から新しく地域にやってきた人に対して「世話を焼く人」が必須なんだということが伝わり始めて、仕事になってきていると感じてます。

 

中川:地域でいろんな施策が行われて、成功例と失敗例ともに積み上がってきたからかも。そこから、「地域にはつなぐ人が必要」ということが広まってきている気がします。ちなみに仕事の話になったので、どういうふうにうちが稼いでいるかでいうと、一つはアルバイトや、自動車学校さんと組んで入学生の大学生を紹介する広告の収入、前述の大学生を農村地域にボランティア派遣する事務局を担当したり行政の委託があったり、ですね。中小企業の経営者さんが新しくチャレンジしたいけど、社員さんを割くことが難しいというテーマにインターンシップとして大学生のマッチングからフォローまでをして、中小企業さんからお金をいただいたり。あとは、移住を希望する人たちが移住を決めるまでの支援は手厚いんですけど、入ってきた後の支援はまだまだ少ないんですね。そういう施策に携わったり、地域おこし協力隊の鳥取県内のサポートを委託という形でやったり。僕を入れて5名体制でいろいろ携わってます。最近は、個人的にノウハウが貯まってきているので、起業のコンサルも請け負っていたりもしますね。

 

伊東:例えば英語がしゃべれるという強みのように、僕の場合は生まれ育っているところにずっといるというのも強みですよね。そのへんはもう隠さずに、自分が自信を持って、人より秀でているものから何を専門性、自分の得意技とするか考えていけたらいいと思います。何が一番適しているかというのは、それぞれかなあと。

 

 

 

答えはきっと「現場」にある。実践を通じて、自分の専門性を磨いていく。


 

長谷川:ところで、皆さんはどんなふうにコーディネートの腕を磨いてきたんでしょうか?

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中川:僕は、団体を立ち上げた頃は何もノウハウがなかったので、丁稚奉公に行きました。当時、鳥取県がとある大きめのイベントのボランティアセンターをやるという話をたまたま聞きつけて。今で言うとインターンシップですね。そこで運営のこと、優先順位のつけ方などを学んだかなと思いますね。

 

日野:僕は、新卒で入って、最初はひたすら現場に置いてかれました。宮城の内陸地震の周年行事に参加した後、僕だけ現場に2週間滞在して、その後、地域おこし協力隊の復興支援版の現場にまた半年間置いてかれて。ひたすら現場の人にお話を聞いて、見よう見まねで仕事をしていきました。そこからいろんな知り合いができて依頼が増えていく中で、学んでいった感じですかね。

 

伊東:僕もスキルゼロからのスタートでしたが、その時から一番早いのは「聞きに行くこと」。 今はSNSで情報を見つけられるので、「ああ、この人すごいな」と思う人をフォローしたり。「すごいから盗みたいな」「これ学びたいな」と思ったら、もう会いに行く。これをひたすらやってきた感じです。日本中には素晴らしい人たちがたくさんいるので、そういう人たちから学ぶ、聞きに行くのが一番早いんじゃないかな。

 

長谷川:「現場に入っていく」「この人だ!という人を見つけて、話を聞きに行く」というのは本当に大事ですね。

 

中川: 一方で、コーディネーターも一つぐらいは専門的なスキルというか、何か得意な強みを持っているからこそ生きられるところはあります。全てに対して平均的だと、まずそもそも声が掛からない。僕の場合は、場づくりやファシリテーションといったところに呼ばれて、「他のことも相談したらその後つながった、あいつやるな」と思ってもらえるように心掛けてます。まずは、自分の持っている力に特化して実績を出したが、結果としてコーディネートの成果につながるかなと思います。

 

伊東:コーディネートをしていると地域でどうしても目立っちゃうことってあるんですね。その上で、非常に気をつけたいことは、世間から一目は置かれないといけないことかなと。田舎のある特定の地域から一目置かれるという存在にならないと、物事がうまく行かないケースがあるんです。一目置かれる存在になることで信頼関係をつくって、その中で活動をしやすくすることは、もうどの地域の場合でも必要かなと。大都会だったらちょっと違うんですけど、田舎特有のコミュニティーの中で存在感を示していくためには、ただ面白楽しくやっているだけじゃなく、取り組みそのもののプロセスも評価されるような身の振り方、動き方が必要だなあと。そうすることが、コーディネーターとしての地域での根付き方をすごくいいものにするのでは、と思っています。

 

中川:わかります。僕はその「家族版」を実践中ですね。うちの奥さんからすると僕の仕事って謎なんですよ。友達にもうまく説明できない。なので、今日のように東京出張の際は家族旅行とセットにしたり、2年前にお邪魔した尾鷲での飲み会で、うちの奥さんの前で伊東さんが僕をめっちゃ褒めてくれた時には、「なるほど、よくわからないけど尾鷲ですごいと言われている人が玄洋を褒めているんだ」「だからうちの旦那は間違っていない」となったりするんです(笑)。一緒に住んでいる奥さんのお父さん・お母さんにとっても婿である僕はやっぱり謎なので、鳥取県知事と対談したことを新聞記事を切り抜いて見せておいて、「謎の婿なんだけど、なんか知事としゃべってるのよ」って、うちの嫁のお母さんが集落の人に話すようなことも結構大事。客観的な評価をうまく組み合わせながらやると、応援が増えるというのはすごく僕も感じています。そこはしたたかに、しっかり関わって行っていい部分かなと。

 

日野:コーディネートはその人のキャラクターがそのまま出ちゃいますよね。玄洋さんだったらいいパパキャラで。伊東さんはやり手の支配人。自分のことをちゃんと理解して、いいところ・悪いところをちゃんと理解して人と付き合う。自己分析がちゃんとできていることが必要なんじゃないかなと思いますね。

 

 

 

 

日野正基
日野正基
イナカレッジ事務局
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