出る杭を打たない。打ったら終わりだから。-新発田市地域おこし協力隊-藤間昇さん

専業という概念はごく一部の人にしかなく、多くの人が季節やその地の困り事に合わせて職を選び、いくつかの生業を持って暮らしていたのは、そう遠くもない昔の話。移り変わりの激しい現代において、専業ではなく、いくつかの生業を組み合わせて生きていくというのは、選択肢の一つとして再び希望を見出されつつあります。

 

上三光集落にも、兼業農家の方がたくさんいらっしゃいます。藤間昇さんは、生業を組み合わせて、自分らしい生き方を歩んでらっしゃるお一人。

 

15年ほど前に脱サラをして歩み始めた今の暮らしの良いところは、「生業にしている稲作と造園が出来ること」と、静かに語る藤間さんに、働き方を中心にお話を伺いました。0u8a5856

 

今の生活をできることが良いです


「稲作中心にしていますが、もう一つの生業があります。造園屋さんでお世話になっています。職人もどきです。それと、アルバイトを少々。ライスセンターで勤めています。あとは自動車学校の送迎も。いろんな方面でお世話になって、それぞれを生業として暮らしています。そういう生活になって、15年ほどですね。平たく言うと脱サラです」

 

サラリと今の生業と、サラリーマンを辞めたことについて話される様子に驚きつつも、良い意味で気負いなく、今の暮らしを積み重ねてらっしゃるのだなと感じました。

高校時代には既に、家の田んぼを任され、稲作をしていたそうです。ずいぶん早いのだなあと思いましたが、藤間さんが高校生の頃はそれが普通だったそう。高校を卒業してサラリーマンとなってからも、自然に稲作を続けていたとおっしゃいます。当たり前に兼業が行われていたのですね。0u8a5846

 

「近所の造園屋さんに、『お前うちに来いよ』と言われ、40半ばにして修行を始めました。ありがたかったですよ。たまたま2代目が亡くなりまして廃業し、私たちも辞めたんですけど、お客さんから継続してやれと言っていただいて、続けています。いまの生業ですね」

 

上三光での暮らしでよいと思えることは、「生業にしている稲作と造園が出来ること」と、藤間さん。ご両親の介護をしながら、奥様と末の娘さんと暮らしてらっしゃいます。

 

「収入はサラリーマン時代に比べると減りましたよ。それでも、今の生活ができることが良いです。稲作と造園。あとは、空いた時間でアルバイトをさせてもらって、なんとか回りますからね。なんとか暮らせるもんですね」

 

生活面で、ご自身の体調やご両親の介護など、苦労もありますが、今の暮らしに満足していると語ってくださいました。

 

ここの良さっていうのは、空気みたいなもん


単身赴任で、上三光集落を離れた機関もあるという藤間さん。それでも、この集落から完全に離れて暮らそうと思ったことはないそうです。そこまで思わせる上三光集落の良さを伺うと、「これだっていう理由はない」と、淡々と仰いました。

 

「外を見ないとわからないですよね。ここの良さっていうのは、空気みたいなもんで、外で暮らしてみると上三光集落が一番いいなと思いましたね。上三光集落での暮らしは、楽なんですね。どこか気持ちが穏やかになる。単身赴任しているときは、知り合いもいないし、職場の人とは仕事上のことだけで、個人的な付き合いはなかったですし、ご近所づきあいっていうのはないですし、挨拶しても返って来ないことも。上三光集落は、まず挨拶できなきゃ始まらないですものね」0u8a5836

 

上三光集落で暮らすのならば、誰とでも挨拶のできる人であれば大丈夫だと教えてくださいました。簡単なようで、忘れがちになってしまう最初のコミュニケーション。そこを怠らす、自然と出来るのが上三光集落「らしさ」の一つなのかもしれません。上三光集落での暮らしを良いと思う、「これだ」という理由が無くとも、空気のように漂う上三光「らしさ」を吸収しながら、住みよい暮らしを築いていっているのだなと感じました。

 

出る杭を打たない。打ったら終わりだから。


地域おこし協力隊として、せっかく上三光集落に来てくれるのであれば、定住してくれたら一番良いと語る、藤間さん。その為には、「生業はなんでもよい」と。

 

「農業やりたいなら農業でもいいし、サラリーマンでもいいじゃないですか。去年定住された方は、学校の先生ですよ。家族でいらして、娘さんも生まれてね。たまたま空き家だった家を見つけていらしてくださった」

 

そして、良い関係をつくるには、受け入れ側(上三光集落)が地域おこし協力隊に対してどのようなサポートをして行くかが重要だとおっしゃいます。0u8a5831

 

「上三光集落に入る地域おこし協力隊は1人ですよね。複数人じゃないからこそ、馴染んでいくっていうのが大事かなって思うんです。受け入れ側が、どれだけ節度をもって受け入れられるか。受け手が全てだと思うんです。出る杭を打たない。打ったら終わりだから。地域おこし協力隊が馴染まないようなことがあれば、話し合わないといけない。話し合いで解決できますからね。頭から否定しない。来てくれる人は、初めは一人ですから。味方いないわけですからね」

 

「辛そうなときには助け舟を出します」と力強く語ってくださいました。協力隊として入り込む側の意気込みやスキルだけではなく、受け入れ側に必要なものを冷静に考えてらっしゃる様子に、ただただ頼もしさを感じます。そして、来春から上三光集落にどのような変化が訪れるのだろうかと自然に想像が膨らみます。

 

 

上三光集落での暮らしを一番楽しいでいる方はどなただと思いますかと問いかけると、「自分ですね」と迷わず答えてくださった藤間さん。いくつかの生業を立てながら、四季折々の変化を楽しみながら暮らしていることを話される様子には、上三光集落やご自身の暮らしへの誇りを感じました。

誇りをもって、自分の好きな土地で自分の好きな職を磨きながら生きられることがどれだけ幸せなことか、考えたくなるような時間を過ごすことができました。

 

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