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「みんな上三光での暮らしを楽しんでいるよ」-新発田市地域おこし協力隊-渋谷杉衛(すぎえい)さん 

上三光集落が地域おこし協力隊を募集するのは、今回が初めて。

それには、……..という背景があります。

 

地域おこし協力隊の世話人となる方々との会にお邪魔した際に、そこに集う方たちが、口々に「せっかく来てくれるのであれば、この集落を好きになって欲しい」と語っていらしたのが強く印象に残っています。

 

地域おこし協力隊として赴任するということは、その地域で「暮らす」ということ。

働くだけの関わりではなく、そこには暮らしもあるはずです。

 

 

のどかでゆったりとした時間が流れているように感じるこの集落では、実際にどのような暮らしが営まれているのでしょうか。

 

上三光集落には、どのような人々が暮らし、どのような日常を送っているのか、その一端をお伝えするインタビューをお送りします。

 

 

 渋谷杉衛(すぎえい)さん 0u8a5746

同じ土地に暮らし続け、淡々と日々の営みをこなし、日常の中で小さな楽しみを見つけて生きている人の姿は、自分の日常を顧みるきっかけを与えてくれます。

 

生まれてこの方、ずっと上三光集落で暮らしているという渋谷杉衛さんは、御年77歳。

高校を出てすぐに家業の農業を始め、それ以来、この集落を出て暮らそうと思ったことは一度もないそう。

 

「生まれてからずっと暮らしているからねえ。どこが良いかと聞かれても、良かったから今まで住んでいるんであって、答えるのは難しいねえ」と、言葉に詰まってしまうほど、当たり前に上三光集落で暮らしてきたと言う、杉衛さん。

 

冬の苦労、冬の楽しみ


「今のところ、つくっているのは、水稲とアスパラ少々。あとは、ばあちゃんが畑で自分の家で食べる分の野菜を作っているかな。余ればその野菜をお裾分けしている。昔は葉タバコを作っていました。この集落64戸の、45~6軒は作っていたと思うよ。減反政策になってからやめました。それからアスパラに切り替えて、今までずっと」

 

冬は、しんしんと雪の降る日が続くこともあるという上三光集落。若い時には、農作物の育たない冬の時期には東京や名古屋まで出稼ぎに行くこともあったそうです。0u8a5720

 

「暮らしで困るのは雪でしょうね。今はそんなことないけど、バスが止まったとき、1時間かけて高校まで歩きました。今は家から車で行けるから苦労はないね。苦労と言えば、雪下ろしぐらいだね。いっぱい降ればどうしても下ろさないと。それが一番嫌だね、冬は」

 

冬には雪国ならではの苦労も出てくるそう。その反面、幼少期はソリやスキーを楽しみ、今は老人クラブの仲間たちと屋内でのゲートボールを楽しんでいるのだとか。傍から見ると厳しい季節も、その土地に暮らす人たちにとっては当たり前であり、各々の楽しみ方を見つけているようです。

 

暮らしと自然の移り変わり


長い間、上三光集落に暮らしているからこそ気づく、少し寂しい変化もあるそう。

「お勤めをしている人は朝早く出て、暗くなって帰ってくる。農家も機械作業になりましたんで、本当に会う機会が少ないです。それぞれ個人でやっているからね。私たちみたいに年寄りになったら若い人のことはわからないって人もいっぱいいますよ。世代交流が少ないから。今は子どもの声もだいぶ聞かなくなった。生活様式が変わって、家から出ないでゲームしている子も多くて。外で遊ぶ子は、少なくなりましたね」0u8a5734

 

ここ、上三光集落でも世代間の交流は少しずつ減ってきているように感じられるそうです。それでも、この集落の子どもたちに対しては身内かそうではいか関係なく愛着をもって見守ってらっしゃる杉衛さん。特に、子どもたちが外で遊んでいる声を聞くのは良いものだと目を細めていらしてのが印象に残っています。0u8a5695

 

「日本の将来を背負って立つ子どもだから、外で遊んでいてもやかましいなんて言ってられない。やかましいほうがいいです。よその町で、せっかく幼稚園作ろうってなってもやかましいからヤダなんて話を聞くけれど、とんでもねえ。外で遊ぶに困るっていうのはさ、ちょっと変だて」

 

悩みの種は鳥獣害


暮らしの変化に伴って、上三光集落を支える豊かな自然にも変化が起きているそうです。そのことが最近の悩みの種にもなっているのだとか。

 

「最近は鳥獣害があってね。私の畑にも被害はありますよ。サルもアスパラを食べるんです。私たちが子どもの頃はそんなことなかった。今は、稼げないようになって、山仕事をする人がいなくなったでしょ。だからサルも下に降りてきた。あいつらはどんどん増える。サルにハクビシンに。狸なんていつも見るよ」0u8a5571

 

鳥獣害は、上三光集落において大きな問題となっており、電柵で畑を囲うなどの対策をしていますが、完全に防ぐことはできません。その上、電柵の管理も大変なのだそうです。鳥獣害対策に人手がほしいというのが、集落の切実な要望でもあります。

 

 それぞれに暮らしを楽しむ人たち


そんな悩みを抱えつつも、杉衛さんは、3年前に新たに始めた楽しみがあります。それは、庭での養蜂。

「雑誌で読んで面白そうだと思ってね。養蜂は、道楽ですよ」と控えめに紹介してくださいましたが、蜂の住み家となる箱を手作りするなど、そこには工夫がたくさん。採れた蜂蜜は、家族で楽しんだり、親しい人たちに配ったりしているのだそうです。0u8a57520u8a5753

 

「みんな上三光での暮らしを楽しんでいるよ。そう思わなきゃしょうがないでしょ。嫌々に住んでいても困るから。空気はいいし静かだし。車の音はしねえし。川の音がするね。なんでも勝手気ままにやるのが楽しんじゃないかね」と、にこやかに淡々と語る杉衛さん。

 

そんな、自分たちで暮らしを楽しむ人たちばかりだというこの集落に、どのような人が住んでくれたらよいと思うのか、率直に伺いました。

「陽気な人だば一番いい。いつでも自分から声を掛けてくれる人だったら、こちらも声を掛けやすいし。どこ行っても良いこと悪いことあるからね。最初はみんな静かに見ているけど、年月経つと馴染んでいくよ」

最後まで柔らかな表情で話してくださいました。杉衛さんの、何事も嫌々するのではなく、楽しもうとする姿勢や、穏やかな物腰が、この集落ののどかで明るい雰囲気にどこか似ているような気がしました。長年住んでいるからこそ、醸し出されるものなのかもしれません。0u8a5726

新発田市地域おこし協力隊の募集ページはこちら 

日野正基
日野正基
イナカレッジ事務局
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