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山の境界線は結局わかったのか!?

27年度進めてきた「池山の山を探せ!」、つまり森林の境界線確定はどうなったのか?そこから学んだことをまとめておきます。

結論は、「池山の山は、見つかりませんでした。」

 一体どういうことなのか???解説していきます。

 


 

境界明確化に関わる地図・台帳

まず山の所有境界を探す、手がかりとなる机上の資料がこれです。

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世の中には色んな目的のもと作られた色んな地図があります。

上の2つが「課税を目的に作成した地図」です。つまり、誰がどこにどれだけの面積を持っているかわからないと課税できないわけですよね。そこで作られたのがこの地図。

2つの書きましたが1つです。どういうことか、簡単に言えば「公図(更生図)」というものは、測量がきちんとされていない古い地図、「地籍図」というのは、正確に測量した新しい地図です。この「地籍図」が作られていない地域には、古い地図である「公図(更生図)」しかないということなのです。

ちなみに新潟県で「地籍図」が整備されているのは「34%」・・・。たった3割です。

http://www.chiseki.go.jp/map/ken.php?s2=%90V%8A%83&s3=

この状況が、「森林境界線明確化」なんて言葉がある原因なのです。そしてもちろん「池山の山」は未整備です。

そしてこの地図上の情報が台帳にまとめられているのが「登記簿」というものになります。

それぞれの地図をちょっと説明しておきます。

公図(更生図)

公図の歴史は、権力者がどう税金を徴収してきたのかという歴史とリンクします。古くは豊臣秀吉の「太閤検地」や徳川吉宗の「享保検地」なんていうのが、課税のための地図作りの調査のはじまりですね。

その辺はまぁいいとして、日本における土地の近代的所有権が確立した明治時代、全国的に土地調査が行われました。その時に作成された地図が、「野取絵図」とか「字図」と呼ばれるもので、一筆の土地を示した「野取図」「一筆限図」、それを字単位でまとめた「字限図」、村単位にまとめた「村限図」の総称です。

しかし、これがあまりに雑だったため、明治18年から明治22年にかけて「更正」されたのが「更正図」であり、これがいわゆる「公図」です。

 

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地籍図

戦後、国土の基礎資料を整備するために、昭和26年に制定された「国土調査法」に基づいて実施されている「地籍調査」によって作成されています。地籍調査が行われたところはそれに基づいて登記簿も書き換えられます。

これらが基本的な土地に関する資料になるわけです。

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「森林基本図」「森林計画図」と「森林簿」

それを元に「林業施業を目的に作成された」地図が、「森林基本図」と「森林計画図」、そしてその台帳である「森林簿」になります。

森林基本図は、地籍図と違い、地形が示されているのが特徴です。つまり等高線とか、道路、建物、河川、田畑が地図上にあらわされています。森林計画図は、そこに森林の区域を示しています。

そして台帳である「森林簿」には、所在、所有者、森林情報などなどが記載されています。

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で・・・実際これらの資料はどう役立ったのか?

①池山さんが法務局から取得した資料

取得した資料は「公図」と「登記簿」の2つです。公図には、「土地の形状」と「地番」が記されているだけなので、これだけではどこなのかよくわからない。等高線すらないので、山の中に入っても・・・。

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②森林組合さんに準備していただいた資料

取得した資料は「森林計画図」と「森林簿」と「航空写真」の3つ。「森林計画図」に記載されている、等高線、道路、建物、河川、田畑等の情報と「航空写真」上の情報を合わせて、おおよその位置を把握することができるのではないか。

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③「航空写真・森林計画図」を持って「現場」と「地図」を合わせていく。

森林組合さんの資料を元に、現場へ行く。

まず「航空写真」と「森林計画図」を、それぞれにある情報を元に重ねあわせる。そして その地図と「現場の状況」を重ねあわせる。ということを山の中でやったわけです。

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それがこの時ですね

http://inacollege.jp/blog/2015/05/25/%E6%9C%A8%E3%82%92%E4%BC%90%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%EF%BC%81%EF%BC%81%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E6%A3%AE%E3%81%AE%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84/

④生い茂る草を刈りながら、杭などの目印を探す0025

ここはひたすら地道な作業、「草刈り機」と「鎌」を持ち草をかき分け目印を探す旅です。

その時に、目印のなったのが「杭」

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「リボン」や「景色」

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「規則的に並んだ樹木」や「雑木境」

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「規則的に並んだ樹木」というのは、境界線がわからなくならないように、昔の人が植樹をする時に、目印として一列に並べるということはよくあるそうです。「 雑木境(ぞうきさかい)」というのは、樹木の違いによる境です。左側が杉が植樹されており、右側は自生の広葉樹です。このように山の手入れの状況で、持ち主が違うことが推測できます。ちなみにこの写真の場所は、高低差もあり、それも目印になりました。

このように境となる目印を見つけながら、「地図」と「現場」を照らし合わせていくわけですが、どうにも、「地図」と「現場」が合わない・・・。例えば、規則的に並んだ樹木が現場にあるが、その線が、地図上のどの線なのかさっぱりわからないというように・・・。

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⑤「地図」と「現場確認」の齟齬を確認するため、GPSを使って山へ

新潟県さんの持っているGPSを持って、現場の位置情報を記録誌、地図に落とすということを試みました。

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やっぱり、現場を歩いていた時に齟齬があったように、GPSを使っても現場のポイントと地図上の線が一致しませんでした。

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池山の山がある小国町では地籍調査はどうなっているのか?

やっぱりわからんので、八つ当たりではないですが・・・小国町の土地の調査はどうなってんだ???と元役場職員の方にお聞きしました。

その結果が↓

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地籍調査は終わったことになっていた!?つまり山奥はいいや・・・ということになっていたわけですね。ただし!山林の境界は、明らかにしなければということで、町単独事業で集落に協力してもらいやった過去はあるが、その実施状況は集落によって大きく違うよう。というわけで、池山の山は忘れ去られてた山になっていたわけです。

 


 

 

じゃあどうすればいいか!

今回の結論としては、↓のように考えました。この山では、現場がわかる人がもういないわけです。そして隣接所有者も現場に行って確認することもできない。つまり、「現場の目印」を尊重して、こういう境界でいいですか?と地図と写真を使って、机上で隣接所有者と同意をする。

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これがおそらくできる唯一の手段ではないかという結論です。

本当はこういった事が集落単位でできれば、法務局には残らないが、集落の人達合意の境界地図ができあがるわけですね。そうすれば、山の資源も活用しやすくなるわけです。

なかなかヘビーな課題にはじめに手を付けてしまったわけで・・・。さぁ28年度はどうしようか!?

阿部巧
阿部巧
イナカレッジ事務局
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