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山中人の酒蔵出稼ぎ。③麹作り(製麹)。酒造りは一に麹!

酒造りは、「一麹、二モト、三造り」と言われていて、製麹(せいぎく)は酒造りでとても大事な工程です。

麹を何のために作るのかというと、簡単に言ってしまえば、米のデンプン質を糖分に変える”糖化酵素”(アミラーゼ類)を酒母(モト)やモロミに供給する為なのです。

酒造りにおいては、酵母が糖分を使ってアルコールを生成するのですが、日本酒の原料のお米にはデンプン質は含まれていても、ワインにおけるブドウのように糖分が豊富に含まれているわけではないので、麹の糖化酵素でデンプン質を糖分に分解してやる必要があるのです。

 

因みに、

・ワインにおいては、酵母がブドウ果汁に含まれる糖分を使ってアルコールを生成します。(単発酵)

・ビールにおいては、麦芽のデンプン質を糖化させてから、酵母を使って糖分からアルコールを生成します。(単行発酵)

・日本酒においては、デンプン質の糖化と酵母の働きによるアルコールの生成がモロミの中で同時に進行します。(平行複発酵)

 

麹には糖化酵素だけではなく、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ、ペプチダーゼ)も含まれているので、米のタンパク質をアミノ酸に分解して、酒に旨みを加える効果もあります。(しかし日本酒において、多すぎるアミノ酸は雑味に…)

 

………

はい!☆

さて、それでは、山中人が石塚酒造で経験した製麹の工程を順を追って紹介いたします~。

 

「引き込み」

前回、米を洗って蒸したところから。

蒸米を十分に冷ましてから、麹室(こうじむろ)と呼ばれる専用の部屋に運びます。

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放冷機という機械で蒸米を冷ましているところ。

ベルトコンベアーでゆっくりと手前に流れてきます。この機械の床の部分は勢いよく空気を吸っているので、その気流で蒸米は冷やされます。

 

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麹室の入り口。

 

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中は杉板張りのきれいな部屋です。入ると杉材の香りがします。

運び入れて広げた蒸米を返したりして温度の微調整を行います。

 

 

「麹種まき(種きり)」

蒸米の温度が35~36℃程になったら、麹種をまきます。

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緑色の缶は下に小さな穴が開いていて、中の種麹から麹の胞子が蒸米に振り掛けられます。

濃い緑色の煙がふわふわ漂うように、出てきます。麹菌の胞子です。

胞子が蒸米に舞い降りて落ち着くまでしばし待ちます。。

蒸米の上下を返して種まきをしたら、蒸米をよく揉み込んで胞子を全体に回します。

 

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よく揉み込んだら、蒸米を中央に積み上げて、

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毛布で覆って保温です!

あったかや~。

麹の温度は30℃を下回らないように気をつけます。30℃を切ってしまうと、なかなか温度が回復しないのです。

 

「切り返し」

夕方頃、蒸米をよく解して揉み込みます。

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ブンジと呼ばれる船のオールのような道具で米ブロックを切ってから揉み込むのですが、だいぶ力仕事。まだ蒸米がくっつき気味なのです。

このときはまだ蒸米の見た目には変化がありませんが、なにやら香ばしい香りを発するようになっています。おいしそうな、ポップコーンみたいな感じかな。

このあと、また毛布で覆ってあげて、一晩置きます。

 

「盛り」

翌日、幾分ぱらついてきた蒸米を一粒一粒によくバラケさせてから、隣の機械に移します。

天幕式自動製麹機といいます。

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今度はこの機械が麹の温度管理を担ってくれるのです。

麹は次第に自力で発熱しだすので、温度が上がりすぎることがあります。そんなときは手で麹を返して放熱したり、麹を薄く広げることで対処しますが、機械も自動で設定温度まで下がるように送風してくれたりします。

機械さんが見ていてくれるので、蔵人は泊り込みをせずに夕方ちゃんとお家に帰れるのです。

 

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何もないとこんな感じ。

 

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このときは麹がたくさん入っています。

盛りの作業をするときくらいには、蒸米から独特の、マンゴーのような甘い芳香がしてきます。見た目も、麹が表面に白く付きだして、麹っぽくなり始めますし、パラパラになります。

 

「仲仕事・仕舞仕事」

次第に麹の発熱量も増えていくので、麹を返して解すことで放熱と熱の均一化を図り、麹を広げることで温度の上昇しすぎを防ぎます。

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このあと麹をよく返して、奥まで広げます。

薄く広げれば、温度の上昇はゆっくりになるのです。

「引き込み」から次第に次第に麹の温度を上げてゆきます。はじめに種きりをして保温した時点では31~33℃ですが、仕舞仕事辺りでは38~39℃くらいになっています。

この辺まで来るとまた香りが変わってきて、むっとくるような人間臭いような匂いがします。あとはなんか、鼻に苦味を感じるような?香りもしました。

 

「出麹(でこうじ)」

仕舞仕事の翌日。麹の温度は41~42℃くらいまで上がっています。

そして、

おめでとうございます!ついに麹が使えるようになりました!

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パラパラの米麹。

 

種麹は濃いグリーンですが、完成した麹は真っ白。

麹菌が繁殖して、蒸米の表面に菌糸が見える状態で、そのことを、「破精(はぜ)」といいます。

破精の状態で麹の良し悪しを見たりするのだそうで、破精にも、総破精・突破精・塗破精・馬鹿破精など色々あります。

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さあ、これから麹を運んで、まずはお酒の大元となる、モト(酒母ともいいます)をつくりますよ~!

 

ここまででも、酒米の選択から精米歩合、浸水の割合、種麹の種類・量、温度管理の経過のしかた、などなどたくさんの分岐がありました。それぞれの違いができてくる麹やその先のお酒の味に影響してきます。

まあ!深遠で無限の広がり!

一般酒なのか吟醸なのか、造りたいお酒の傾向はどうか、などでそれぞれを繊細に選択して造ります。麹の温度経過一つとっても、低温で推移させるのか、温度を上げるのかで麹に含まれる糖化酵素やたんぱく質分解酵素の組成が変わってくるそうなので、複雑。さすがは生き物。おもしろい!

 

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いやあ、それにしても、麹室は暑いんです。

30~35℃くらいあるので、真冬の寒造りの中でここだけ真夏。汗をかいて夏バテしそうです。

 

 

長くなりましたが、次は「一麹、二モト、三造り」のモト立てのことを紹介しちゃいますので、どうかお願いします。

日々の酒蔵手伝い日記もお願いします。

 

ありがとうございます。

間雄輝
間雄輝
山中集落インターン生
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