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震災から10年。地域はこれからの未来をどう描くのか。

中越地震から10年を迎える本年。三月三十日に第六回目の地域復興交流会議が開催しました。
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「地域復興交流会議」とは「中越地震から復興に向けた活動を行っている団体、個人の情報交換やネットワークづくり」を目的に二〇〇七年二月に第一回目を開催しました。これまでに旧川口町や魚沼市などで開催し、各回約50団体が参加しています。今回の地域復興交流会議では、「これまでの10年の復旧・復興の取り組みを振り返り、これからの地域づくりを考える」事を目的に、5つのテーマに分かれた座談会と交流会を実施しました。本記事では、当日の座談会の様子をダイジェストで振り返ります。

 

座談会のテーマ
A.「震災で小規模化した集落運営は、今どうしてる!?」
B.「震災後生まれた地域ビジネスの今の成果と課題は!?」
C.「都市との交流活動の今の成果と課題は今!?」
D.「これからの移住・定住の取り組みを考える!」
E.「地域経営・地域総合型NPOのこれからを考える!」

 

A「震災で小規模化した集落運営は、今どうしてる!?」

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中越地震以降、被災集落の人口・世帯数の減少が進み、集落運営の方法に工夫が求められています。この分科会では、話題提供の山古志池谷の青木さんをはじめ、参加者の方に集落の状況やいかに少ない人員やお金で集落に必要な活動を行う工夫をしていきたかお話いただきました。集落運営の核をなす役員の仕事や報酬をどうスリムにするか、集落が持っている集落センター等の施設の省エネ化を図る、はたまた神社の建物はなくし、集落センター内に神棚をつくって祀るなど様々な事が行われていることがわかりました。また、スリム化するだけではなく、集落のつながりを強め、楽しく暮らす、助け合いながら暮らすための活動は新たに生み出すなど、この集落で住み続けることへの積極的な意義を見出していくというようなことも考え実践されていました。
(復興デザインセンター阿部巧)

 

B.「震災後生まれた地域ビジネスの今の成果と課題は!?」

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雇用創出、移住者の受入、地域の課題解決など、農村ビジネスは色々な面からその必要性が叫ばれていました。この分科会ではアルパカ村の青木勝さん、農家レストラン多菜田の五十嵐なつ子さん、わかとち未来会議の細金剛さん、農村レストランすがばたけの原定幸さんの4名の実践者から、事業を始めたきっかけや経緯、今現在の課題や今後の展望などについてお話をいただき、参加者を交えての意見交換を行いました。分科会のなかでは、農村ビジネスは市場経済という物差しだけではなく、集落の人たちが生き生きと暮らしていくための仕組みとして、その役割があるとの認識が得られた。即決が求められるビジネスにおいては、合議制にもとづく集落組織は不向きで、自治組織とは別の法人・団体が必要。集落自治組織との距離感・関係性をどう作るかは一つの課題と言える。そして、農村ビジネスを持続・発展させていくための課題として、後継者の確保・育成などが挙げられました。
(復興デザインセンター金子知也)

 

C.「都市との交流活動の今の成果と課題は!?」

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中越地震以降、活発になった都市農村交流。しかし、継続性や情報発信など様々な課題が出てきています。この分科会では、都市の人だけでなくさまざまな人との交流が地域の活性化になるということを、あらためて参加者で確認しあった後に、今後どのようにそれを継続できるのか課題を出し合いました。例えば、集落単独では難しい情報発信や窓口機能を担うための広域連携の必要性や、これまで活動にあまり関わってこなかった地域内の若手との情報共有の場が必要ではないかという意見が出ました。また、これまでの交流活動で大きな役割を果たした地域復興支援員のような人材の重要性や、復興基金事業がなくなった後の財源をどのように工夫できるかなど知恵を交換し合いました。
(京都大学 宮本匠)

 

D.「これからの移住・定住の取り組みを考える!」

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「地域の担い手の不足」これは日本全国の中山間地の課題でもあります。中越地震で被災した集落では、特にこの課題は深刻であり、震災をきっかけに人口が4割も減った地域もあります。
この分科会では、これらの課題を解決するために、「新しい担い手」として移住者の受け入れについて議論しました。初めに、栃尾に移住してきた刈屋さん、十日町市地域おこし実行委員会の山本さん、小国インターンシップ受け入れ連絡会の青柳さんの3名に移住の取り組みについて報告を頂いた後に、課題や今後の展望について意見交換を行いました。
移住の課題である「仕事」については、複数の仕事を掛け持つ方法や、各種支援制度を有効活用するなどの意見が出されました。また、移住者を受け入れる体制づくりについては、地域で毎月会議を行う事や、少ない日数の交流を行うなど「小さな積み重ね」による体制、雰囲気づくりが重要であると言った意見が出されました。最後には、集落や地域の“ビジョン”が移住者を惹きつけるため、「集落の高い目標を語り続ける事」が移住者を呼ぶ第一歩である事を共有し会を締めくくりました。
(復興デザインセンター 日野正基)

 

E.「地域経営・地域総合型NPOのこれからを考える!」

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長岡市では、震災からの復興の集落活動を補完する、合併前の旧市町村単位の自治を補完する地域経営・地域総合型NPOが設立されています。この分科会では、4つNPO法人から活動報告がありました。小国地域のNPO法人MTNサポートの小島さんからは、高齢者支援に力点を置き活動をしている点、次年度からは、小国出身者に賛助会員を募り、経営を安定していく旨の報告、川口地域のNPO法人くらしサポート越後川口の水落さんからは、地域の認知度を上げる活動に力点を置き活動している点、次年度より集落活動の事務局支援を行う旨の報告、山古志地域のNPO法人中越防災フロンティアの田中さんからは、クローバーバスの有償化に対する住民の理解促進の活動や山古志らしい市民協働センター目指す取り組みの報告、栃尾地域のNPO法人フォーラム栃尾熱都の佐藤さんからは震災前からの地域づくり支援の取り組みや行政の支援は受けずにボランタリーな活動で継続性を担保している旨の報告がありました。意見交換では、今後10年後の地域の姿を見据えたうえでの組織の継続性が議論され、またこの4つのNPOが今後連携するなかで活動を進めていくことが議論されました。
(復興デザインセンター 稲垣文彦)

 

最後に

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震災からもうすぐ10年。地域は試行錯誤しながらも、着実に歩を進めています。しかし、中山間地の過疎高齢化などから来る様々な諸課題は、いまだ明快な解決策を見いだせてはいません。中越では引き続き、この課題解決に取り組み日本の中山間地域のモデルとなるよう努めていきます。

日野正基
日野正基
イナカレッジ事務局
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